ソフトバンク李大浩内野手(32)が復活の雄たけびを上げた。4回に決勝の逆転打を放つなど、今季初の3安打猛打賞を記録。深刻な打撃不振に悩まされたが、12戦ぶりのタイムリーで底を脱した。不動の5番として起用を続けてきた工藤公康監督(51)もひと安心。懸念材料が消え、強力打線が勢いづきそうだ。

 李大浩がようやく本来の姿を取り戻した。1点を追う4回の無死二、三塁。ロッテ涌井の内角シュートを巧みなバットコントロールで捉え、左翼に運んだ。2者が生還する逆転打。1日オリックス戦以来、12戦ぶりのタイムリーだった。

 「久しぶりにチームに貢献できて、うれしいよ。打点もついたし、タイムリーも打った。少しずつ良くなると信じている」

 先頭打者で迎えた9回には中前打を放ち、貴重な追加点の起点となった。今季17戦目で初の3安打猛打賞。深刻な打撃不振で打率は1割9厘まで落ちた。韓国が誇る屈指の強打者もさすがに気がめいった。

 「野球人生でこんなに打てないことはなかった。初体験だった。大変だった」

 ボールは見えているし、調子がそれほど悪いと自分では思わなかった。それだけに結果の出ない日々はつらい。QVCマリンには韓国の報道陣も取材に訪れていた。「韓国でも痩せすぎてパワーがなくなったんじゃないか、と話題になっている」という。オフのハードなトレーニングで激やせしたことが裏目に出たと、母国のファンが心配するほどの状況。バットで周囲の不安を振り払った。苦悩の4月は底を脱した。

 一番ホッとしたのは、指揮官かもしれない。復調を信じ、5番から外す選択肢を持たなかった。試合後、李大浩の活躍を自ら切り出した。「3、4番が塁に出てチャンスを作ることが多い。うちに必要な大事な選手。答えを出してくれた。打点がついたし、よかったよ。ホッとしている」。柳田、内川が好調なだけに、5番の復調で一気にチームが乗る可能性がある。12球団最強と呼ばれる打線は、李大浩が打ってこそすごみが出る。【田口真一郎】