日本ハム大谷翔平投手(20)が、無傷の開幕4連勝でチームの連敗を止めた。楽天戦(コボスタ宮城)に先発し、4安打7奪三振で今季初完投が完封勝利。課題だった立ち上がり、1回2死一、三塁のピンチを乗り切ると、140キロ前後の高速フォークを低めに集め、波に乗った。好守にも支えられ、8回無死二、三塁の最大のピンチを切り抜け、111球の快投劇。屋外球場では通算15試合で8勝無敗となり、今季初の連敗を喫していたチームを救った。

 シナリオ通りだ。9回2死。大谷は楽天ペーニャから、高めの154キロ速球で空振り三振を奪った。「あれは計算通り」。グラブをポンとたたき、息を吐いた。今季初の完封勝利を、完璧な幕引きで締めた。チームの連敗を止め「投手戦で勝てたのは良かったです」。ローテの柱としての責任感。開幕4連勝という最高の結果で示して見せた。

 故郷・東北でのヒーローインタビューは、謝罪が口を突いて出た。「いつもハラハラな立ち上がりで申し訳ないです」。課題の1回。2つの四死球と自身の暴投で、2死一、三塁のピンチを背負った。藤田を左飛に抑えて切り抜けはしたが、3戦連続で初回に得点圏に走者を置いた。

 最速156キロの直球は全体的に低めに集まったが「(打者の)手元でカットしたりシュートしたり、理想とするボールじゃない」。3回以降は勝負球をフォーク中心にシフトチェンジ。この回、3者連続三振で波に乗った。栗山監督は「試合の流れを自分でコントロールできるようになってきた」と話せば、大谷は「三振が少なかったので球数が少なかった」。理想的なペースで、完封に向かっていった。

 開幕2日前の全体練習中のことだ。札幌ドームは、新設した大型ビジョンをテストしていた。仮のスコアは、大谷が楽天に「5-1」で勝利していた。これはオープン戦最終戦の3月22日ヤクルト戦の点数を、相手チーム名だけ替えたものだったのだが、グラウンドからビジョンを見上げた大谷は関係者に、「1点取られてるじゃないですか!」と文句を言ったという。

 後藤、嶋に連打を浴びて無死二、三塁の最大のピンチを招いた8回も「(点を)やるつもりはなかった」。遊撃・中島の好プレー(遊直併殺)にも助けられたが、開幕戦と同じ楽天を相手に、スコアボードには念願だった「0」を9つ並べた。

 屋外球場は通算15試合で8勝負けなし。開幕から4連勝で初の月間MVP獲得も視界にとらえた。「いい部分も悪い部分も出ていた。しっかり(課題を)埋めていければいいです」。ヤンキース田中のすごさを知る敵地・仙台のスタンドからも、温かい拍手が降り注いでいた。【本間翼】

 ▼大谷が昨年5月13日西武戦、同9月13日オリックス戦に次ぎ通算3度目の完封勝利。4日オリックス戦からは22回連続無失点で、連続イニング無失点は昨年6月に記録した自己最長の17回1/3を更新。防御率をプロ初の0点台となる0・94とした。開幕投手の4戦4勝以上は10年内海(巨人=4戦4勝)以来で、日本ハムでは前身球団を含め51年米川4戦4勝、79年高橋直6戦6勝、89年西崎5戦5勝に次ぐ4人目。

 ▼日本ハム大谷がコボスタ宮城で今季初完封、屋外球場では無傷の8連勝となった。屋外は13年6月18日広島戦(マツダ)から通算15登板(うち14先発)で、大量失点の試合もあったが通算防御率は2・19。