142球の粘投も実らず…。阪神藤浪晋太郎投手(21)は7回8安打4四死球2失点で勝ち負けはつかなかった。「最低限、ですね。いいピッチングができたとは思わない。最低でも1点に、と思っていた。ゼロなら勝てた試合なので」。制球に苦しみながらも試合をつくったが、その表情は満足感からはほど遠かった。

 最速は自己記録にあと1キロまで迫る156キロ。直球には力強さがあった。4イニング目は16球すべてに直球を選択し、空振り三振2つを含む3者凡退に仕留めた。それだけに制球の狂いが悔やまれる。3回は安打に死球が絡んで2死一、二塁とされ、5番井端に低めフォークを右前に運ばれて先制点を献上。5回は2死二塁から4番坂本への外角を狙った151キロが甘く入り、三遊間を破られた。

 「コントロールにバラつきがあって良くなかった」。とはいえ自身の悪送球(記録は失策)が絡んだ6回表1死満塁のピンチを切り抜け、直後6回裏の同点劇を呼び込みもした。自己最多の1試合143球まで残り1球の熱投。「余裕がなかったわけではない。7イニング目も150キロは出ていたと思いますし」。シーズンでは13年8月4日の白星を最後に巨人戦4連敗中だった右腕は、6回123球からの続投を決断した首脳陣の信頼に応えてみせた。

 ここ3戦連続でクオリティー・スタート(6回を自責点3以内)をクリアしながら、3月29日の中日戦以来の白星が遠い。「自分の仕事に集中すれば、勝ちはついてくると思います」。決して試合を壊さない。15年藤浪の粘りはまだまだ続く。【佐井陽介】