悪い流れは切り込み役が断ち切る! 阪神上本博紀内野手(28)が好調をキープし、今日25日からの広島2連戦(マツダスタジアム)に臨む。ここ6試合は昨季の大半で務めた1番に復帰し、24打数9安打の打率3割4分6厘をマーク。一時の不振から脱却した状態で好相性を誇る敵地・広島に乗り込む。暗いニュースが続くチームを、選手会長はプレーで引っ張る。

 転機は先週16日にやってきた。ナゴヤドームでの中日戦。真っさらなバッターボックスに上本は立った。いきなり右前打を放ち、初回4点の猛攻を演出。昨年の定位置だったトップバッターでの再スタートだった。1番に戻った今、上本は「もちろん自分が2番の仕事をできないといけないんです」と切り出した。その上で丁寧に言葉を発した。

 上本 2番は仕事がたくさんあるポジション。そればかりを考えすぎて、おかしくなっていたところはあると思う。例えば右打ちを意識しすぎて、ボールを捉えるポイントが後ろ(捕手側)になっていたり。そこからの変化はありました。

 今季は高い出塁率を誇る1番鳥谷、天性のバットコントロールを持つ2番上本で開幕から11試合を消化した。無死一塁から犠打だけでなく、攻撃的に「無死一、三塁」を狙える長所があった。しかし上本は自分の打撃を見失い、不振で12試合目から7番に降格。1番に戻るまでの打率は1割6分7厘だった。

 上本 1番に戻ったらやりやすさみたいなものがあった。いい意味で割り切れるところがありました。

 1番では全6試合で安打をマーク。和田監督も「上本が上位を打たないことには動きが限られてくる」と信頼する中、現打線の貴重な得点源になっている。今年初のマツダスタジアムでは昨季、41打数13安打の打率3割1分7厘をマーク。7月25日には広島エース前田から7回に同点2ランを放ち、逆転勝利に導いた思い出もある。この日、打撃練習などで汗を流した上本は、独自の視点で敵地の2連戦に目を向けた。

 上本 まずは守備です。マツダは(内野の)芝と土の関係でバウンドがよく変わる。そこを意識しながら大事にやっていきたい。

 守りを第一に考えられるのも、打撃の好調が影響しているのかもしれない。チームはマートンの不振に加え、ゴメスまで体調不良に…。これ以上借金を増やせない苦境でも、上本のやることは変わらない。【松本航】