西武が「世紀の一戦」ばりに楽天との打ち合いを制した。前日2日に4三振を喫したハードパンチャー中村が休養で先発落ち。もう1人の“KOキング”エルネスト・メヒア内野手(29)が暫定4番に燃えた。初回にジャブ代わりの先制適時打、6回に「ストレートを狙った」と剛腕で14戦ぶりの3号ソロを相手ボディーに見舞った。

 試合前は中村とメイウェザーVSパッキャオについてボクシング談議。「プライベートの部分も含めてパッキャオが好き」。異国でのサクセスストーリーは自身にも重なる。アイドルは敗れたが「4番に座り、どう貢献できるかを考えていた」と成功を収めた。

 試合前、栗山はソワソワしていた。「どっちが勝ちますかね。見たいわ~」。ロッカールームのテレビはWOWOWに加入しておらず、試合とも重なり、見られなかった。だがグラウンドに立てば百戦錬磨のボクサーのように、あらゆる技術を駆使した。4回に左中間突破の適時二塁打。8回には得点に直結しなかったが今季初めて犠打のサインが出て、決めた。

 敵を惑わすには味方から、だ。試合前、アップを終えると若手の熊代が「今日も絶対に勝つぞ!」と絶叫。だが誰も呼応しない。ハシゴを外され、赤面する若手に「何でオレのせいや?」とニヤリ。変幻自在のトリックで試合前からノリノリだった。

 6点リードから3ラン2発とカウンターを受けた。だが最後はメイウェザーが誇る鉄壁ディフェンスのように、増田-高橋朋の必勝リレーで逃げ切った。ともにリーグトップとなる増田が12ホールド目、高橋朋が10セーブ目。2人がともに登板した12戦は11勝1分けと無敗王者と重なる。

 開幕カード以来の同一カード3連勝で貯金は今季最多タイの5。7年ぶりのチャンピオンベルトへ勝利を重ねる。【広重竜太郎】