仙台大は東北福祉大とのAクラス対決に先勝した。最速152キロの右腕エース熊原健人(4年=柴田)が3安打8奪三振で完封。立ち上がりに連続四死球で窮地を招いたが、投直からリーグ史上6度目の三重殺で波に乗り、同じくプロ注目の相手佐藤優(古川学園)との4年生エース対決を制した。

 9回裏2死二塁、熊原が相手4番を空振り三振に仕留めた。開幕から3戦連続の完封。前節までチーム打率リーグ首位(3割8分)の東北福祉大打線を初めて0点に抑えた。1点を守り切った熊原は「どっちに転んでもおかしくない試合を取れたのは大きい。明日につながる」と勝ち点奪取に自信をみせた。

 東北大との第3戦(4月20日)で左脇腹を痛め、約3週間ぶりの登板だった。序盤は制球に苦しみ、いきなり無死一、二塁のピンチ。だが自身初のスーパープレーで窮地を脱した。144キロの直球で相手3番のバットをへし折り、投直から二塁送球。さらに一塁転送でそれぞれ飛び出していた走者をアウトに仕留めた。リーグ史上3年ぶり6度目となる三重殺達成に、熊原は「フィールディングは得意でなかったので、10~15メートルの距離でテニスボールを強く打ってもらって練習してきました」と日頃の成果を口にした。

 3回以降は右軸足のプレート位置を三塁側から一塁側に変更。「腰が回っていなかったので思い切って逆にした。試合中に変えたのは初めてですが、ボールのかかりも勢いもよくなった」と高い修正能力も示した。この日最速は149キロ。プロ9球団の関係者20人が視察する中、防御率0で並んでいた東北福祉大エース佐藤優との投げ合いを制した。楽天上岡スカウトは「久々に見応えのあるレベルの高い投手戦」と評価した。

 ライバルにまずは先勝し、春連覇に1歩前進した。熊原は「短期決戦の中で先に勝っていい流れを作れた。チームに勇気を与えられる仕事をしたい」とエースの自覚をさらに強めた。【佐々木雄高】