仙台大の4番大坂智哉内野手(3年=青森山田)が、優勝に王手をかけるサヨナラ打を放った。3-3の9回裏1死二塁。東北学院大のプロ注目右腕本田圭佑(4年=東北学院)の速球を捉え、中前に運んだ。先勝した仙台大は今日18日の2回戦に勝てば勝ち点5となり、2季ぶり4度目のVが決まる。

 打球が中前に抜けると、大坂はベンチに向かって右拳を突き上げながら一塁へ走った。サヨナラ打。「人生初です。1回打ちたかった」。V王手も呼び込む一撃は「打てない」と言われた打線の中心、前節まで打率2割5分8厘の4番のプライドが詰まっていた。

 ここまでドラフト上位候補・熊原健人(4年=柴田)ら、投手頼みの勝利ばかり。この日は右腕エースが制球に苦しみ6回2/3、3失点で降板した。勝ち点を取れば優勝、落とせば消滅する大事な1回戦。森本吉謙監督(40)は「バッターの意地でしょう」。9回に二塁打で出塁した3番松本桃太郎(3年=北海)を含め、中軸の働きを評価した。

 4番に初めて座った昨秋。大坂は開幕戦を含む2本塁打と好調だったが、9月下旬の第5節東北福祉大戦で一塁からファウルフライを追った際に、フェンス前のコンクリート部分にスパイクを引っ掛けて右足甲を骨折した。練習を再開したのは今年1月中旬。この春は今まで以上の悔しさを胸に秘めていた。

 昨春、67季ぶりに東北福祉大から勝ち点を奪った3回戦では、3番打者で決勝打を放った。1年後もVを占う一戦で勝負強さを再現した。「4番? あまり意識していない」と笑うが「もう1度全国へ」と、優勝で手にする全日本大学選手権の2年連続出場をにらんだ。あと1勝。「大坂春の陣」のクライマックスが、近づいてきた。【久野朗】

 ◆大坂智哉(おおさか・ともや)1994年(平6)5月19日、青森県八戸市生まれ。小中野小4年から野球を始め投手。5年から小中野中1年までリトルリーグの長者レッドソックスに所属。2年から軟式野球部。青森山田では投手兼外野手で3年春から外野手に専念。仙台大1年春からベンチ入り、2年春からレギュラー。175センチ、90キロ。左投げ左打ち。家族は両親と弟。