悪夢の逆転負けに加えて緊急事態が発生だ。阪神西岡剛内野手(30)が右肘の違和感を訴え、5回の守備から退いた。今日23日に出場選手登録を抹消される。右肘にサポーターを装着すると、試合途中に球団トレーナーとタクシーで球場を後にした。右肘は昨年11月に手術を受けた箇所だけに今後が心配される。西岡の代わりに、森越祐人内野手(26)が移籍後初の昇格となる見込みだ。

 あまりにも早い選手交代だった。5回裏。サードの守備位置に向かったのは西岡ではなく新井だった。その回の最中、西岡は球場裏の駐車場に姿を現すと、球団トレーナーに付き添われる形でタクシーに乗り込んだ。トレーニングウエアに着替えた右肘にはサポーターが巻かれていた。

 グラウンド上で通常と違う動きが表面化したのは、5回表の攻撃時だった。スタメンを外れていた新井が、三塁カメラマン席の前でキャッチボールを開始。ベンチの様子をうかがいつつ、急ぎで肩をつくった。攻撃を終えると、そのままサードが入れ替わった。試合後、和田監督は「ちょっと肘の違和感がある。代えた時点までで、その後の話は聞いていない」と現状を説明。平田ヘッドコーチも、長引く可能性を問われると表情険しく首を傾け、無言で帰りのバスに乗り込んだ。今日23日に出場選手登録を抹消される方向で、チームへのダメージは計り知れない。

 西岡は昨年11月11日に右肘遊離軟骨除去手術を受けた。オフは懸命にリハビリをこなし、キャンプイン初日からシートノックに参加。快調な様子を見せる一方で、右肘の不調を訴え3月12日のヤクルトとのオープン戦(甲子園)から3試合実戦を欠場したこともあった。その際には「手術してから追い込んでハイピッチでやった。そういうこと(肘の不調)が起こりえると頭に入っていた。それがこの時期」と説明していた。

 今季は開幕から全試合でスタメン出場。1~3番の上位を担い、打線の中心となってきた。上昇気流に乗り切れないチームの中で、存在感は打撃面だけに止まらない。守備の際にもこまめに投手の元に歩み寄ると、状況に応じて丁寧なアドバイスを送っていた。

 藤浪、ドラ1ルーキー横山らの快投による2連勝で勢いよく乗り込んだ横浜の地。序盤3回までの盛り上がりが一転、試合後は重苦しい雰囲気に包まれた。5点差をひっくり返された悪夢の戦い。それに追い打ちをかけるように、西岡の離脱が猛虎に重くのしかかった。

<阪神西岡 右肘手術からの経過>

 ◆14年11月11日 右肘遊離軟骨除去手術。

 ◆同12月23日 甲子園室内練習場で打撃練習とキャッチボール再開。

 ◆15年1月7日 西宮市内で自主トレを公開。キャッチボールを披露。

 ◆1月下旬 20日米ハワイ第2次自主トレへ出発。30日帰国。

 ◆2月1日 宜野座キャンプ初日、上本と二塁に入り遜色ない送球を見せる。

 ◆2月25日 キャンプ最終日、初めて三塁守備。

 ◆3月4日 ソフトバンク戦で今季初の実戦三塁。

 ◆3月12日 この日のヤクルト戦から3試合実戦を欠場。

 ◆3月17日 DeNA戦に3番三塁で1軍復帰。フル出場。三塁守備でジャンピングキャッチも。

 ◆3月30日 開幕カードの中日3連戦終了翌日、守備はノースローで調整。和田監督は「今年1年は気をつけていかないといけない」と気遣っていた。