“LINE”のようにつながった猛攻撃が、主将の一打で決した。巨人坂本勇人内野手(26)が、1-1の8回1死満塁、決勝の2点適時二塁打をマーク。8番相川の右前打から始まったチャンスで、一気に中日大野を攻略した。「みんながつないでくれたので、何とかしたいと思った」。つなぎに徹した阿部、長野、片岡の思いに応えた。

 打ったのは、大野が武器とする直球だった。4番を相手に、挑まれた真っ向勝負。人一倍、負けず嫌いな男はフルスイングで中堅の頭上を越えた。「なかなか、自分のバッティングができていませんが、チャンスの時くらいはと思って、強い気持ちでいった」と込めた分だけ、打球が伸びた。

 猛攻を生んだのは、“つながり”を大事にする心だった。登録抹消され、2週間の2軍調整。坂本はナイター全試合をほぼテレビ観戦した。外食先も、テレビが備え付けのお店を選択。タイムリー、好プレーが出る度に、すぐさま通話アプリ「LINE」で片岡、村田、亀井らにメッセージを送った。試合後にも、各選手と情報を交換。1軍を離れても、心は一緒だった。

 個々の能力を信じ、原監督も勝負した。「負けている状況で、出し惜しみは良くないと思った」と捕手2人制だが、相川に代走を送って、阿部を代打で起用。攻めの手に途中出場の選手が応えた。連日の接戦を制しての1勝に、主将は「ジャイアンツのいいところは、こういうところ」と胸を張った。【久保賢吾】

 ▼坂本が8回、満塁の場面で勝ち越し二塁打。坂本の今季走者別成績を出すと

 走者なし 80打数13安打 打率1割6分3厘

 走者一塁 14打数3安打 打率2割1分4厘

 得点圏 41打数13安打 打率3割1分7厘

 打率2割1分5厘はセ・リーグの規定打席に到達している27人の中で26位だが得点圏打率3割1分7厘は3位。勝利打点がチーム最多の5度目と、低打率でも勝負強さを見せている。