162キロ打って、MVPだ! マツダオールスターゲーム2015のファン投票最終結果が26日発表され、この日34歳の誕生日を迎えた阪神鳥谷敬内野手が、4年連続6度目の出場を決めた。昨年の球宴で162キロを投げ込まれた日本ハム大谷との再戦を熱望。さらにはMVPにも色気を出し、34歳の所信表明をビッグに飾った。

 甲子園クラブハウスの一室に、約50人の報道陣が集った。ユニホーム姿の鳥谷は足を踏み入れるや、一瞬キョトンとした表情を浮かべた。阪神から唯一のファン投票選出。05~08年藤川以来となる4年連続のファン投票選出の重みをかみしめ、丁寧に言葉を発した。

 「オールスターにファン投票で選ばれるのは幸せなこと。選んでくれた人への感謝の気持ちをしっかりとプレーで出したいです」

 通算6度目の球宴となれば、雰囲気も想像がつく。前日25日の夜には家族から祝福され、この日の34歳の誕生日を最高の形で迎えた。徐々にベテランの域へ差し掛かるが、言葉にはワクワク感がにじんだ。今月中旬まで戦った18試合の交流戦。パ・リーグと聞いて最初に思い浮かんだのは、他ならぬ20歳の剛腕だった。

 「大谷は対戦したし、いいピッチャーだと思う。同じリーグじゃないし、何回も対戦できるものじゃない。オールスターで対戦できたらと思います」

 昨年7月19日。甲子園開催の球宴で、鳥谷は大谷に立ち向かった。初球は161キロストライク。驚きながらも、続けざまの2球目をファウルした。バックスクリーンに表示された「162」の数字に思わず指をさした自分がいた。最終的には4球目の160キロを左前へ。先輩の意地を見せたが、今年の交流戦では2打数無安打1四球に終わった。そんな大谷へのチャレンジがまた実現するかもしれない。お祭りとはいえど、鳥谷は本気だ。クールな表情はいつもと変わらないが、MVPの話題にも気後れせずに本音をぶつけた。

 「狙って取れればいいけれど、普段通りのプレーをやり切って、結果そういうのがもらえたらうれしいですね」

 今季は全試合に出場しながら、打率2割5分9厘。「選ばれないと思っていた」と苦笑いしながらも、ファンからプレゼントをもらった。2つの誓いは、虎党みんなの夢だ。【松本航】

 ▼阪神は鳥谷1人が球宴ファン投票選出。阪神からのファン投票での選出は、昨年も鳥谷1人だけ。鳥谷のファン投票選出は12年から4年連続。阪神では、藤川の4年連続(05~08年)以来。野手では、金本の4年連続(03~06年)以来。内野手に限ると、今岡の4年連続(02~05年)以来。