日本ハム大谷翔平投手(20)の両リーグ最速10勝目はお預けとなった。オリックス戦は6回2/3を3安打2失点、8三振を奪い、2年連続の100奪三振に到達した。右手中指にマメができたため7回途中で自ら降板を申し入れ、救援陣が8回に追いつかれて勝利投手こそ逃したが、勝利数、防御率、勝率と合わせて両リーグ4冠に浮上。本拠地・札幌ドームでは今季初の160キロもマークし、チームの交流戦明け後初の連勝に貢献した。

 自らストップをかけた。2点リードの7回1死、大谷はブランコを153キロの直球で空振り三振に仕留めた直後、右手を掲げてベンチに合図を送った。中指には血マメができていた。「だいぶ大きくなってきていたというか、(血が)たまってきていた。つぶれる前にしようかと」。6回2/3を投げ、3安打2失点。8回に救援陣がいったん追いつかれたため、10勝目はお預けとなったが「勝ちに値する投球じゃない。もうちょっと長いイニングを投げていければ」。途中降板した自己責任と結論づけた。

 中指の異変は「6回くらいから」。糸井の初球に、今季最速タイとなる160キロをマーク。「今日はけっこう(指に)かかっていたので」。序盤は変化球の制球に苦しんだが、ストレートは指にしっかりと引っかかってスピンが利いていた。その“代償”が、80球を超えた中盤以降に表れた。

 だが自ら大事を取ったことで、次回以降の登板には影響はなさそうだ。4回には糸井、中島、5回にはブランコ、カラバイヨから連続三振を奪うなど、CSを含めると対オリックス6戦6勝という相性の良さは随所に感じられた。7回にはT-岡田に、今季初被弾となる1発を浴びたが、12試合、打者323人に投げ、被本塁打1本という数字がむしろ驚異的。「しっかりととらえられた。もう1つ力がなかった」。屈辱のシーンも淡々と振り返った。

 今季はふくらはぎをつっての降板や、右足首をひねってマウンドを降りたこともあるが、栗山監督は「しょうがない。よくあそこで止めた。勝たせてあげたかった」と、無理せず自ら申し出たことを評価した。幻となった10勝目は、必ず近いうちに手に入る。逆転でのリーグ制覇へ向け、勝負どころはもっと先にある。【本間翼】