総帥の声が届いたのか。オリックスが今季未勝利で7連敗を喫していた西武プリンスドームで快勝だ。この日のオーナー会議後、オリックス宮内オーナーは最下位のチーム状況に嘆き節だったが、安達了一内野手(27)の2発を含む6打点の活躍などで大勝。西武秋山の連続試合安打を止めることはできなかったけれど、ようやくオリックスナインが獅子の本拠地で笑った。

 笑顔が輝いた。安達がプロ4年目で初となる1試合2発&6打点の大暴れ。ヒーローインタビューで「最高です!」と声を張り上げた。8回は二塁打ならサイクル安打。「まあ、意識はしました。けど、持ってないですね」。中飛で快挙は逃したが、チームの5連敗ストップに大きく貢献した。

 1回は先頭ヘルマンの中前打に続き右中間を破る適時三塁打。わずか4球で野上から先制点を奪った。3回は野上のスライダーを「今シーズン一番の感触」という左越え6号2ラン。5回は藤原の直球を再び左翼席まで届けた。

 試合開始からさかのぼること1時間半。都内のオーナー会議を終えた宮内オーナーが、最下位の現状を嘆いた。「ビリよ。何とかしてよ。要望は…勝つこと。それしかない」。そんな声が西武プリンスドームまで届いたのか。得点ラッシュを安達が演出した。

 8度目の完封負けから一夜明け、今季7戦全敗だった球場で鬱憤(うっぷん)晴らしの15安打12得点。オーナーの嘆きを伝え聞いた福良淳一監督代行(55)は「どうやったら勝てるかを、いろいろ考えながらやるしかない。けが人が戻ってくるわけでもないからね」。3年ぶりの借金20を水際で阻止。この白星を、盛り返すきっかけにしたい。【大池和幸】