ロッテが来た! 今季最多の連勝を6に伸ばし、3位西武に3タテを食らわせた。ついにゲーム差無しと肉薄。中継ぎから約2カ月ぶりに先発復帰したイ・デウン投手(26)が7回2安打無失点、10奪三振の力投だった。連勝中は、全て先発に勝ちが付いた。課題をクリアし、Aクラス浮上の態勢が整った。

 味方の失策で走者を出しても、イ・デウンは流れを渡さなかった。1-0の7回1死から西武岡田に出塁されたが、後続をきっちり処理。ジャスト100球、7回2安打無失点で務めを果たし、大谷、西野の鉄板リレーに託した。チームトップ9勝目を手に、お立ち台では「今、チームは大事な時期。必ず勝つつもりでマウンドに上がりました。いいアピールになりました」と笑った。最後は名前に引っかけ、「いい~で!」と関西弁で締めた。

 チームは今季最多6連勝。全て先発に白星が付いた。伊東勤監督(52)は「本来の求めていた野球。先発が踏ん張れば形になる。頑張ってくれている」と、満足そうにうなずいた。先発が課題だった。涌井、石川の両輪は開幕からローテを守っているが、残り4人はやりくり状態だった。開幕2戦目に投げたイ・デウンも結果を出せず、6月前半から中継ぎに配置転換された。苦しい台所事情の日々が、ここに来て回り始めている。

 背景には、もともとの強みだった中継ぎ陣の復調がある。ブルペン担当の小林投手コーチは「ロサが戻ってきて、益田も良くなっている」と、勝ちパターンだった2人を挙げた。昨年までの方程式が戻ったことで、中継ぎで結果を出していたイ・デウンを先発に戻す環境ができた。イ・デウンも、中継ぎの経験がプラスになった。4回まで8奪三振。直後、伊東監督から「三振にこだわるな。力まず、打たせて取れ」と助言された。中継ぎを経験したことで、走者を出しても落ち着き、変化球の制球が向上。危なげなかった。

 今日からは2位日本ハムが相手。伊東監督は「まだまだ、上にいるチームは多い。1戦1戦、戦っていくだけ」と気を引き締めた。上位食いのロッテが、じわり浮上する。【古川真弥】

 ▼先発復帰したイ・デウンが9勝目。黒星が2度しかなく勝率は8割1分8厘になる。来日1年目の外国人投手で、8勝以上を挙げて勝率8割超えは8割3分3厘(10勝2敗)の96年フレーザー(オリックス)しかいない。負けないイ・デウンは高勝率をどこまでキープできるか。