阪神がゴーゴー5連勝でなななんと貯金7、巨人もヤクルトも敗れてニコニコ2・5ゲーム差や! 右手中指負傷を抱える福留孝介外野手(38)が先発を外れた「分が悪い」一戦。代役3番右翼の狩野恵輔外野手(32)が8回に決勝の3号ソロを左翼に突き刺した。今季最大の勢いに乗って今日から神宮、東京ドームと関東遠征。シュイシュイと首位固めや!

 Vロードへの勢いを感じさせる弾道だった。同点の8回2死走者なし。狩野が又吉のスライダーを完璧に捉えると力強い直線を描き、瞬く間に左翼席へ突き刺さった。最上段のテラス席まで満員の虎党はエクスタシーだ。行方を見届けたヒーローは一塁を回ると絶叫する。「こういうことはあまりないので…」と笑うが5連勝で、貯金は今季最多7。ムードは最高潮だ。

 この日はフル回転するベテラン福留を休ませ、代役の「3番右翼」で先発していたが気合は空回り。差し込まれて振らされる…。3打数無安打で迎えた最終打席は心を平静に、原点に立ち戻った。「前の3打席が全然だったので代打の気持ちで入りました」。普段は代打。悪循環をリセットし、自分の立ち位置に戻る余裕はベテランの年輪だろう。剛腕又吉の球威に押されて形勢は不利。それでもファウルで粘り、甘いスライダーを砕く。わずかに見せたスキを逃さず、野武士らしくしのぎ合いを制した。

 右翼から秋山の背中を見て思った。「僕もファームにいたとき、秋山も頑張っていた」。たとえ2軍暮らしが長くても、向上心を失わない。昨年2月に打撃フォームを改造したときだ。がに股のスタンスで立ち、左足のつま先を投手側に向けるのは掛布DCの助言だが満足しない。周囲を見渡す。「高山さんの構えがね、僕と似ていて。ヘッドを立てたときの体の割れとか。勉強させてもらいました」。当時の同僚で、いまは西武アカデミーのコーチを務める高山久氏の動きをマネる。仲間は自分を映す鏡なのだ。生かせるものは、何でもヒントにする素直さがある。

 タフな男の3号決勝アーチで、ヤクルトと巨人に2・5ゲーム差。ベンチワークも好転させた。今季、福留がベンチスタートの試合は5戦全敗だっただけに和田監督も「決して打ち崩せていないなかで、こういう試合を拾えたのはね。休ませた時に負けるとなると今後も休ませづらくなる」と胸をなでおろした。天敵大野の登板試合を制し、前夜の坂に続く日替わりヒーローも登場。最下位中日に3連戦3連勝の横綱相撲だった。混戦セ・リーグを抜け出す機は熟した。さあ、胸を張って東京で首位固めにチャレンジするぜ!!【酒井俊作】

 ▼阪神は2位と今季最大の2・5ゲーム差に広げた。貯金も今季最多の7に増やし、これは14年シーズン閉幕時以来(75勝68敗1分け)。京セラドーム大阪での中日戦は、14年4月2日から11連勝となった。5連勝は今季2度目で、6月16日の日本ハム戦~同28日DeNA戦の6連勝(1分け挟む)以来。長期ロード期間中に限ると、10年8月14日ヤクルト戦~同19日横浜戦5連勝以来、5年ぶりとなった。また、同一カード3連勝は今季4度目。3カード連続勝ち越しの長期ロードは7勝2敗となった。

 ▼阪神は狩野の勝ち越し3号本塁打を生かし快勝。狩野が打点を挙げた試合で今季、阪神は7勝2敗。敗れた2試合はいずれも狩野が本塁打を放った試合で、6月11日ソフトバンク戦、8月7日DeNA戦。3本目がようやく白星につながった。また狩野の先発出場は今季6試合目。過去5戦でチームは全敗していたが、効果的な1発で自ら勝利を引き寄せた。

 ▼阪神は今季、福留がスタメンを外れた試合で6試合目にして初勝利。これまで欠場2試合(4月4日巨人戦、5月16日中日戦)、代打出場が3試合(4月15日中日戦、7月1日ヤクルト戦、8月7日DeNA戦)あったが、この5試合に全敗していた。