史上初の偉業に、ソフトバンク柳田悠岐外野手(26)が加速した。1回に先制24号ソロを放つなど4打数4安打2打点で勝利に貢献。打率を3割7分5厘として西武秋山を抜いて首位打者に立った。6回に23盗塁目も決め、トリプルスリー(3割、30本塁打、30盗塁)に前進。首位打者での達成なら史上初だ。連勝で優勝マジックは31。こっちの数字も順調に減っている。

 初回からギータのバットが火を噴いた。外角直球を逆らわずにフルスイング。「しっかり振れるところだったので、いいスイングができました」。逆方向へも失速せず、左翼スタンドへ2戦ぶりの24号ソロを放り込んだ。

 2回にも中前適時打。6回に四球で出塁すると23個目の盗塁もマークした。今季2度目の4安打で打率は3割7分5厘にアップ。4打数無安打だった西武秋山をかわし、7月5日以来の首位打者に躍り出た。

 目標のトリプルスリー達成者は過去8人いるが、首位打者で達成した選手はいない。前人未到の偉業へ期待が高まるが、柳田は「自分はそんな打者ではないので、謙虚にやっていきたい」と話す。

 8月は12試合で44打数22安打のジャスト5割。8月も3割2分をマークする秋山を急速に追い抜いた。「涼しいので、快適です」。空調の効いたヤフオクドームが後押ししている部分もあるが、地道なトレーニングが実を結んでいる。

 「打てない時期に筋肉トレーニングしていた。先月にやった成果かな。体の力も強くなるし、ブレも減ってくる」。7月は打撃フォームを崩し、打率2割6分2厘と大不振。地元広島でも行われた球宴も不発だった。だが、やみくもにバットを振るのではなく、試合前、試合後などに体幹、スクワットなどで体をじっくり鍛えた。暑く疲れのたまる真夏を乗り越える体となった。

 工藤監督も「状態が戻ってきている。体が疲れてくるのは、しようがない部分がある。体脂肪が少ないし、体重が減れば、夏バテにつながる。コンディションさえ考えてあげれば、上がるのも早い」と見守っている。試合後には自分の打席の映像を見て反省。「打席での球の見え方とテレビ画面での球の軌道のイメージを比べてズレがないか」。豪快なフルスイングの裏で絶えず準備を重ねる。

 トリプルスリーの項目にはない打点についても「チームの勝利に直結するから」とこだわる。2打点を加えて73打点。松田、李大浩の72を抜いてチームトップとなった。お立ち台では「お盆休みでみなさんいいですね」と笑わせた。優勝マジックも着々と減らす真夏。連覇に、首位打者トリプルスリー達成に、休んでいる暇はない。【石橋隆雄】