ヤクルトが、粘り勝ちで巨人から今季初の3連戦3連勝を挙げた。0-0の8回2死二、三塁から川端慎吾内野手(27)が、2点適時打。投げては、プロ初先発&初登板の寺田哲也投手(28)が、3回を無失点に切り抜けた。首位阪神とのゲーム差を2に縮め、今日28日から始まる阪神との首位攻防3連戦(甲子園)に弾みをつけた。

 沈黙を切り裂いた。0-0の8回2死二、三塁。川端が、右手1本で終止符を打った。巨人2番手・マシソンの154キロを「あれだけの球速ですから引っ張ったら、打ち損じる」と左手を大胆に離し、逆方向へと運んだ。ついに均衡を破った。打線は巨人先発のポレダの前に7回まで1安打無得点。川端は「1回もチャンスがなかった。粘って粘って守って、何かあるかなと思っていた中で最後は、落ちてくれた」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

 同学年の頑張りに、何とか応えたかった。プロデビューの先発寺田は同じ年。川端は「緊張しているのは見ていて分かったし、何とかしてやりたかった。あいつを勝たせてやろうということは、ミーティングの段階から話していた」。気合十分で殊勲の決勝打を放ってみせた。

 緊迫の展開を演出したのが、寺田だった。プロ初のマウンドでも臆することなかった。3回までに球数74球を要しながら、巨人を無得点に抑え込んだ。象徴的だったのが、3回。1死走者なしから阿部を迎えた。カウント2-2からの6球目。山なりの97キロカーブを内角高めに投じた。タイミングを完全に外し、球場がどよめくほどの空振りを誘った。「自分の持ち味は直球。カーブと組み合わせることで緩急がついてくれた。空振りは出来すぎです」と少し照れた。

 3回裏の攻撃。代打を告げられ、少し物足りなさそうな表情を浮かべた。「もちろん投げたかったですが…」と悔しさをあらわにした。「手応えというより悔しさの方が多い」とプロ初勝利までの糧とする。登板機会がないため、出場選手登録を抹消されるが、堂々のデビュー戦だった。

 チームが一体となり、しびれる試合をものにした。7月26日以来の同一カード3連勝。今季初めて巨人に3タテを食らわせた。首位阪神にも2ゲーム差。真中監督は「うちがチャレンジャーなのは変わらない。巨人と阪神の方が苦しい。1試合、1試合を戦っていくだけ」と冷静を貫いたが、逆転優勝までの道のりが視界良好となった。【栗田尚樹】

 ▼ヤクルトが昨年5月13~15日以来の巨人戦3連戦3連勝。前日26日(○小川-オンドルセク-秋吉-[S]バーネット)に続く2試合連続完封リレーをマークした。ヤクルトがこのカードで2日続けて完封勝ちしたのは、97年9月13日5-0(田畑完封)同14日12-0(○吉井-広田-野中-山本)以来18年ぶりとなった。