逆転優勝の命運を開幕投手に託す。巨人が菅野智之投手(25)を中心とした「ラストスパートローテ」を形成する可能性が8月31日、浮上した。今日1日のヤクルト戦(富山)に先発予定の菅野は中6日で阪神戦に先発。上位2チームとの後は、プロ入り初の中4日で起用する可能性もあるとみられ、戦況を見極めながら、安定感抜群の右腕を積極起用する。1ゲーム差に3チームがひしめく大混戦。菅野自身もリーグ4連覇に向け、覚悟を決めた。

 言わずもがなだった。首位阪神と1ゲーム差の3位巨人にとって、今日1日のヤクルト戦からはリーグ4連覇を占う大事な8試合。ヤクルト、阪神の上位2チームとの対戦で先発を託される菅野は、鋭い眼光でその重みと、内に秘めたる闘志を解き放った。

 菅野 (大事な2試合であることを)僕自身、よく分かっています。開幕投手を任された時点でそういうことを覚悟して、ずっとやってきた。自分の力を信じて、頑張るだけです。

 チームに吹いた追い風を加速させる。8月30日の中日戦、今季初めて5点のビハインドで逆転勝利。リーグ2連覇に貢献した右腕は、上昇ムードを肌で感じた。「昨日の勝ちはすごく大きいと思います。チームの流れが変わっているのかなと。そのいい流れを止めないように、流れに乗っていけるような投球をする」と力を込めた。

 頼れる男に、フル回転プランが浮上した。覇権をかける9月は首位阪神と5試合、2位ヤクルトと6試合を予定する。今季、防御率1・94、6完投を誇る菅野で勝負をかけるのは必然。8日の阪神戦後、プロ初の中4日で13日のDeNA戦に投入すれば、ヤクルト戦に2試合、もしくはヤクルト、阪神に1試合ずつの登板が可能となる。

 スパートの大号令をかけたのは、斎藤投手コーチだった。「これからが本当の勝負。うちもいいピッチャーでいく」と語気を強めた。呼応するように、原監督も「まさに勝負の9月。(大切なのは)簡単な言葉だけど、一戦必勝、一球入魂」と決意を込めた。勝負の9月-。混戦を制するカギは、菅野の右腕に委ねられそうだ。【久保賢吾】

 ◆菅野の登板スケジュール 9月の第2週以降に中4日登板を採用すれば、残り21試合で最大6試合の先発が可能。1日ヤクルト戦(富山)→8日阪神戦(甲子園)→13日DeNA戦(東京ドーム)→18日ヤクルト戦(神宮)→23日阪神戦(東京ドーム)→10月1日DeNA戦(横浜)の順。阪神、ヤクルトに対しては2試合登板できる。示したのは登板できる上限のプラン。順位や雨天中止の日程変更、菅野の状態などに応じて、柔軟に対応することになりそうだ。