日本ハム大谷翔平投手(21)が、6回7安打3失点で4敗目を喫した。ロッテ戦は2試合連続完封中だったが、1回に角中に2点本塁打を許し、登板7試合ぶりに先制点を献上。6回にはクルーズに適時打を浴びた。6奪三振で、最多奪三振の座を楽天則本から奪い返し、再び投手4冠も、打線の援護に恵まれず、3試合ぶりの黒星。最速は159キロだった。

 試合開始直後の騒々しさに、どよめきが加わった。大谷が、わずか12球で2点を失った。1回無死一塁で角中に浴びた先制弾。「(ストライクを)取りに行ったような真っすぐだった。油断していたようなボールになってしまいました。いらない点だったと思う」。2試合連続完封勝利を挙げていたロッテ戦。今季初めての失点が、最後まで響いた。

 3者凡退でベンチに戻ったのは4回だけ。6回で降板するまで、常に走者を背負った。「全体的によくなかった。いいリズムじゃなかった」。前回登板で161キロをマークした速球は「抜け」と「引っかけ」が目立ち、制球に苦しんだ。5回は鈴木の右翼線二塁打と自身の暴投で無死三塁のピンチ。それでも、中村をフォークで空振り三振に仕留めると、田村、角中も抑えて「0」でしのいだ。

 6回も味方の失策が絡み1点は失ったが、さらに1死満塁の窮地で、代打井口にこの日最速159キロの速球を外角に決めて意地を見せた(空振り三振)。「勝てる投球ではなかった」と反省したが、負けてなお実力の高さを見せた。

 スタンドには、ヤンキース、レッドソックスなどメジャー10球団19人のスカウトが集結した。この日甲子園で先発した広島前田と登板が重なったため、当初の予定よりは数が減ったというが、多くの球団が視察に訪れた。まだ高卒3年目にして、破格の注目度。苦しみながらもクオリティー・スタート(6回以上自責点3以内)にまとめる投球技術の高さを示した。

 首位ソフトバンク追撃へ、勝ち頭・大谷で足踏み。栗山監督は「見ての通り。我慢している部分はあったけど…。この時期なので、結果がすべて」。悔しさを、残りの登板と打席でのチャンスにぶつける。【本間翼】