阪神が、OBの金本知憲氏(47)に新監督就任を要請することを決め、交渉を開始することが9月30日、分かった。電鉄本社で行われた坂井信也オーナー(67)南信男球団社長(60)のトップ会談で最終調整が終わり、長期契約も視野に近日中に接触する見込みだ。また、この日は同本社で取締役会が開かれ、和田豊監督(53)の退任が了承され発表された。

 オーナー報告を終えた南球団社長は、次期監督について「それはこれからです」と多くを語らなかった。坂井オーナーも「言えませんというのが返事です。言えないことが多い」とだけ話した。これから新監督候補との交渉が待っている不透明な段階だけに、トップの口は固かった。

 ただ、球団幹部によればトップ会談で金本氏へ要請する方向になったという。電鉄本社、球団間での最終調整がクリアされて一本化された。また、条件面なども話し合われた模様で、関係者によれば、和田監督が就任時に結んだ3年契約を基本線に、それ以上の長期契約をめぐる交渉も想定しているという。

 今季も外国人選手中心のチーム編成と、ベテラン頼みの起用で、優勝争いには残ったが、最後は大失速した。その課題を克服するために金本氏には若手育成、チーム力底上げの期待もかけている。同氏は現役時代に猛練習で自らを鍛え上げ、連続フルイニング出場の世界記録を打ち立てた鉄人だけに適任といえる。それだけに球団内には、ある程度、長期で考える必要があるという意見がある。

 球団は、すぐにでも本格交渉をスタートさせる構えだ。球団関係者が「相手もあることだし、契約期間、条件面については何とも言えない」と話すように、金本氏の要望を聞いてから交渉を本格的に煮詰めていく。金本氏にとって初めての指導者経験が、人気球団の監督となるだけに、慎重になることも予想される。必ずしも楽観できる交渉ではない。10年連続で優勝を逃した阪神が、金本監督誕生へと向かっていく。

 ◆金本知憲(かねもと・ともあき)1968年(昭43)4月3日生まれ。広島県出身。広陵-東北福祉大。91年ドラフト4位で広島。03年から12年まで阪神。通算2578試合出場、2539安打、打率2割8分5厘、476本塁打、1521打点。1766連続試合出場は衣笠氏に次ぐ歴代2位。1492試合連続フルイニング出場は世界記録。04年打点王。ベストナイン7度。現役時は180センチ、88キロ、右投げ左打ち。