新人監督最多の91勝こそ逃したが、ソフトバンク工藤公康監督(52)が長い戦いをひとまず終えた。シーズン最終戦で楽天の新人安楽にプロ初登板初勝利を献上。それでも56年以来のシーズン90勝は輝きを失わない。柳田悠岐外野手(26)はトリプルスリーを確定させ、首位打者もほぼ手中に収めた。日本一連覇への戦いはCSから短期決戦に移る。

 新人監督の最多勝利はならなかったが、工藤監督はナインの奮闘に誇らしげだった。「90勝はとてつもない数字。残してくれた選手に感謝したい。CSという段階を経ないと、日本シリーズには進めない。休み明けから、やるべきことをやって、準備したい」。球団では59年ぶりの大台に到達。2位日本ハムに12ゲーム差をつけ、貯金41でフィニッシュした。

 この日は楽天のルーキー安楽に初勝利を献上。スタンリッジと中田も本調子ではなかった。それでも指揮官は前向きだった。「選手が一生懸命やっている中での失点。責めても、良いものは残らない」。称賛したのは柳田の戦う姿勢だった。左膝裏の打撲は完治していないが、「代打でも行けます」と出場を志願。「出たい気持ちが大事だ。何とかチームに貢献しようとする姿はありがたい。CSには柳田君が入った打線が組める。シーズン中と同じようにできる」。優勝決定後、強力打線は息をひそめているが、ベスト布陣を臨める見通しは立っている。

 チームは2日間の休養をとって、8日から練習を再開。フェニックスリーグの実戦調整はせず、本拠地ヤフオクドームで決戦に備える。【田口真一郎】