ワンモア、電光石火! 阪神和田豊監督(53)が今日10日に開幕するクライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ巨人戦を前に、先手必勝の心得を説いた。1年前のCSファイナルステージ巨人戦では初戦の1回に3点を先制し、勢いのまま4連勝。今年も立ち上がりの攻防に勝負をかける。

 CS開幕前日の東京ドーム。今季限りで退任する和田監督は覚悟を決めた男ならではの落ち着いた口ぶりで1年前の再現を誓った。

 和田監督 1年前も第1戦の初回にリズム、雰囲気、流れを持ってこられた。少しでも早く(流れを)持ってくれば、有利な展開で進められる。初回の攻防が大事になってくる。

 舞台は秋の東京ドーム。1年前の快進撃を思い出せばいい。敵地で巨人に挑んだCSファイナルステージ初戦。1回、虎はわずか8球で3点を先制した。先発内海から1番西岡が左前打で出塁し1死二塁から3番鳥谷の中越え適時二塁打で先制。4番ゴメスが2ランをたたき込みチームは勢いのまま4連勝を成し遂げた。

 1年前の立役者2人は今回も速攻の価値を理解している。鳥谷は「先攻ですし、先に点を取れれば、いい形になる」。主砲ゴメスは「去年は各自がいい仕事をしたから4連勝できたのであって、自分が最初に打ったから勢いがついたわけじゃないよ」と前置きした上で、先制点の重要度について「もちろん、そうだ」と力を込めた。

 今季、東京ドームで5連敗フィニッシュの2勝11敗と大きく負け越した。指揮官は記憶をリセットするつもりだ。「短期決戦なので、そこは線を引いて新たな気持ちでやっていきたい」。脳裏に焼きつく負のイメージを吹き飛ばすためにも、先制攻撃が大事になる。

 今季定番の先制パターンは鳥谷出塁からの福留タイムリー。右太もも裏痛を抱えながら先発する福留は「ビジターだと先に攻撃できるし、いい面もあるんじゃないかな。そういう形でいければいい」と冷静に腕ぶした。ゴメスはフリー打撃で“看板直撃弾”を決め、好調をアピール。おのおの、ロケットスタートの準備は整ったようだ。

 和田監督 我々に、守りに入る要素は何1つない。チャレンジャーとして、プレーボールがかかったら、とにかく集中していく。

 吹っ切れた猛虎。電光石火で勢いづけば、再び野球ファンを沸かせられるだけの力はある。【佐井陽介】

<退任が決定していた監督のCS成績>

 ◆ペナントレース途中の退任決定は4人 今季の阪神和田監督と、07年日本ハム・ヒルマン監督、11年中日落合監督と日本ハム梨田監督が同じ立場でCS進出。過去3人のうちヒルマン、落合両監督は日本シリーズで敗退した。

 ◆CS前の退任決定が4人 08年阪神岡田監督、09年楽天野村監督、14年ソフトバンク秋山監督と広島野村監督がペナントレース終了後に退任が決まった。その中で、秋山監督は日本一で有終の美を飾った。