秋からサバイバルレースが始まる。広島緒方孝市監督(46)は13日、マツダスタジアムでスタッフミーティングを行い、秋季キャンプまでの強化プランを固めた。例年以上に実戦練習を増やして、選手間の競争意識を刺激。そこでのアピールが来春キャンプのメンバー入りにつながる。若手だけでなく、キクマルら中軸選手を含めた戦力の底上げを図っていく。

 さすがの緒方監督も、疲労感をにじませていた。朝9時前に球場入りしてから、出てきたのは日が傾き始めた午後5時30分を過ぎたころだった。「何時間おった?」。時間を忘れるほど、チームのことを考えていた。まずはコーチ陣とスタッフミーティング。今日からの秋季練習、秋季キャンプへと続く今後の方針を固めた。その後はスカウト会議で挙がった指名候補選手の映像に目を通した。来季へ向けたチームづくりはすでに始まっている。

 「新外国人や新人も入ってくるだろうけど、今いるメンバーにしっかりと力をつけさせないと。チームを引っ張っていく力をつけてもらいたい。強化指定といえば若手選手になるんだろうけど違う。菊池も丸も田中も、もう1度強化していかないといけない」

 今日から始まる秋季練習は基礎強化が中心となるが、来月1日から予定するキャンプは例年以上に紅白戦などの実戦練習を増やす方針。野間や鈴木誠ら、若手の底上げだけではなく、中軸と期待する“キクマル”にも甘えは許さない。

 監督就任初の昨秋キャンプは戦力見極めのため、大所帯となった。ただ今秋は「細かいメンバーは決まっていないが、1軍と2軍をはっきりと分けようと考えている」。投手は伸び盛りの若手を登用する可能性は高い。ただ、野手は少数精鋭で競争を促す。そこでのアピールが来春キャンプのメンバー選考の判断材料。早くも生き残りをかけた争いとなる。

 今日からチーム再建への1歩を踏み出す。秋季練習初日には、フェニックス・リーグ参加選手と黒田、新井の両ベテランを除く全選手を集める。来季へ向けた気持ちを1つにする狙いだ。今季の悔しさは緒方監督だけでなく、当然選手たちもかみしめている。その強い思いが成長へとつながることを信じて、緒方カープが再出発を切る。【前原淳】