どれだけの覚悟が必要だったのだろう。新指揮官の胸中を想像すれば、軽はずみな言葉は使えない。金本監督誕生-。ビッグニュースから一夜明け、虎のキャプテン鳥谷敬内野手(34)は冷静に、それでいて力強くV奪回への決意を明かした。

 鳥谷 現役時代、一緒にプレーさせてもらった大先輩が監督になるのは不思議な感覚ですね。重たいケガを抱えていても、当たり前のように試合に出続ける。そんな金本さんの姿を、ずっと間近で勉強させてもらってきたので。また新たな気持ちで、来年優勝するために頑張っていきたい。

 プロ1年目の04年から金本氏の現役引退シーズンとなった12年まで9年間、グラウンドにともに立った。「その1試合しか見にこられない人たちもいるんだから」。手負いの状態でも連続出場を続けた先輩の言葉を胸に、「鉄人」の称号を受け継いで今がある。

 今季も右脇腹負傷、死球による背中付近の激痛といった負傷に苦しみながら、143試合フルイニング出場を達成した。1609試合連続出場は衣笠祥雄(広島)の2215試合、金本の1766試合に次いでプロ野球史上3位。575試合連続フルイニング出場は同4位の数字だ。

 時には厳しい言葉もかけてくれた大先輩の背中を追うように、プロ12年間を休みなく戦い抜いてきた。再び同じ空間でタテジマに袖を通すとなれば、縁を感じずにはいられない。金本新監督のもと、目指す場所はもちろん頂点だけだ。

 鳥谷 今年、本当に悔しい思いをした。今度こそ優勝したいという気持ちに変わりはない。来年優勝できるように、とにかくしっかり準備していきたい。

 9月の大失速で3位に沈み、CSファーストステージでは2位巨人に敗れて終戦。キャプテンとして、V逸から和田前監督の退任、コーチ陣大刷新の流れに責任を痛感する毎日だ。新たな船出から悲願成就へ。新指揮官の覚悟には、覚悟で応える。【佐井陽介】