中日の「しんがり指名」は超個性派だった。育成ドラフト6位で指名した東海大・渡辺勝外野手(22)が23日、中田スカウト部長らの指名あいさつを受けた。東海大相模の後輩で1位指名の小笠原と対極の順位ながら、ハングリー精神は人一倍。集中力を高めるための特技も明かした。

 「名刺1枚で、割り箸10本の束を切ることができます」。??? 現役時代の王貞治氏の師匠として知られる荒川博氏の教えを中学時代に受け、その影響で始めた鍛錬。まず相手に割り箸の両端を持ってもらう。名刺をつまみ、まっすぐ振り落とすと、きれいに切れるという。

 精神統一できる環境がないと決して成功しないという、まさに秘技。これが打席でも生きている。昨秋から練習に取り入れ、今春のリーグ戦は打率3割9分1厘で首都大学リーグMVPに輝いた。高校で11年春の甲子園優勝に貢献するなど、定評のあった勝負強さに磨きがかかった。

 中田部長も「1年目から勝負できる素質がある」と評する好素材。「目標は大きく、王さんです。まずは支配下登録です」。名刺で鍛えた集中力を武器に、“12番目の男”が大逆襲を目指す。【柏原誠】