東北福祉大(仙台6大学1位)が、最上級生の意地で4年ぶり25度目の出場に王手をかけた。1点を追う9回に代打の関康幸(4年=筑紫台)が同点打、タイブレーク(1死満塁から攻撃)の延長11回には、6番岸本竜之輔内野手(4年=八戸学院光星)が決勝の3点三塁打を放ち、東日本国際大(南東北1位)を下した。富士大(北東北1位)と今日26日に決勝を戦う。

 負ければ大学野球が終わる4年生が、東北福祉大を救った。1点を追う9回。絶体絶命の2死から、俊足の1番鈴木光(4年=会津)が四球で出塁。代打関の3球目に迷いなく二盗に成功した。長打がいらなくなった。関は「(鈴木)光が盗塁して気持ちが楽になった」と、左前に単打を運ぶ。土壇場での機動力と勝負強さで、同点劇を呼び込んだ。

 13年春の全日本大学選手権から4季、全国舞台と無縁。「4年生は悔しい思いをしている」と関は言った。今秋から大塚光二監督(48)が指揮を執った。「新しい気持ちになって」(関)リーグを制覇した。リーグ戦はベンチ入りメンバーの入れ替わりが激しく、今まで以上にチーム内に競争力が生まれた。

 延長11回には岸本が走者一掃の中越え三塁打。甘く入った高めの速球を仕留めた。「打てるボールだけ待っていた。とにかく神宮に行きたい気持ちがある」と、関と同じ思いを秘めていた。プロ志望届を提出したが、ドラフトでは指名漏れ。その悔しさもバットに込めた。

 大塚監督は「勝負強く勝てたところは収穫」と言った。就任後、1つの目標としてきた全国大会出場にあと1勝に迫った。岸本が「今日負けても、明日負けても一緒」と必勝を誓えば、関は「明日も1、2点の勝負。優勝したい」と言葉に力を込めた。66度のリーグ優勝を誇る仙台6大学の盟主が、復権をかけて富士大との大一番に挑む。【久野朗】