西武ドラフト9位の弘前工・藤田航生投手(17)が27日、青森県弘前市の同校で水沢英樹スカウトから指名あいさつを受けた。水沢スカウトは「藤田君の落差が大きくブレーキの利いた縦カーブを見た時は衝撃だった。プロでも投げられる投手は何人もいない」と高い評価を示した。

 この日午後のあいさつには高橋和雄校長、滝渕安弘監督(48)らも同席。指名に至った経緯などの説明を受けた後、会見に臨んだ藤田は「まだ実感がないけれど、これから頑張っていこうと思いました」と話した。現在もランニング、遠投など練習を続けているという。

 水沢スカウトは「うちの投手でいえば岸(孝之)の左版。藤田君があのような縦のカーブを投げられるのは、手首の柔らかさや指先の感覚など天性のものを持っている。プロの練習をしていけば間違いなく1軍入りできるし、先発ローテーション入りもできる」と期待した。

 175センチ、70キロの左腕藤田は、最速140キロのストレートに、カーブ、スライダー、チェンジアップと変化球も多彩。1試合(9回)平均11・65の奪三振率を誇る。2年生からエースで、昨年は春夏秋とも県8強。今夏は4回戦で弘前学院聖愛に敗れ、甲子園も東北大会も不出場の無名投手だが、その素質がプロへの道を引き寄せた。

 「岸さんと菊池雄星さんのいいところを見習って、自分の武器のカーブをもっと磨き、ストレートも切れを増したい」。藤田が夢を膨らませた。【北村宏平】