米大リーグのパドレスが、海外フリーエージェント(FA)権を取得しているソフトバンク松田宣浩内野手(32)の獲得調査に本腰を入れていることが10月31日、分かった。メジャー契約の好待遇を用意しているとみられる。阪神も獲得調査を行う方針で、権利を行使するか熟考中の松田がFA宣言すれば、日米争奪戦に発展しそうだ。

 国内で2年連続日本一の原動力となった男の名声は、海の向こうでも高まっていた。ナ・リーグ西地区所属のパドレスは昨オフに大型トレードなど大胆補強を敢行したが、今季は同地区4位。三塁手の強化が1つの課題。松田に高い関心を寄せ、動向を詳細にチェックし、FA権を行使した場合に備えている。

 金額は不明だが、メジャー契約の好待遇を用意しているようだ。複数年の可能性が高いとみられ、その本気度がうかがえる。近年はメジャーで日本人野手、特に内野手が力を発揮できていないケースが目立つ。米球界における市場価値が低下している中で、パドレスは、今季35本塁打を放つなど走攻守そろった松田がメジャーでも十分に活躍できると考えているようだ。

 独創的なアイデアを持つA・J・プレラーGM(38)が昨年8月に就任。日本を軸としたアジア市場とのパイプ構築を軸に掲げている。その中で松田が獲得候補に浮上してきたのは自然の流れといえる。

 松田は10日の申請期限ぎりぎりまで権利を行使するかどうか熟考中。ソフトバンク残留が基本線とみられるが、FA宣言すれば、日米争奪戦に発展しそうだ。国内では阪神が獲得調査を行う方針が明らかになっており、ソフトバンクも4年16億円の大型契約を基本線に、残留交渉を進める方針。FA市場の目玉である松田の動向に、ますます注目されることになった。

 ◆パドレスの三塁事情 ヘッドリーを昨年7月にヤンキースへ放出して以来、スター選手が不在。今季開幕前には数人がレギュラーの座を争い、ヘッドリーと交換で移籍した28歳のソラルテが勝ち取り、打率2割7分、14本塁打、63打点の成績だった。球団は内野全般、特に一塁手と遊撃手の強化を目指しており、トレードやFA市場を通して補強に動くのは確実。ソラルテは二塁、遊撃、外野を守った経験もあるため、新たに三塁手が獲得できればポジションを移ることも可能だ。三塁の控えには2年目の24歳スパンジェンバーグがいるが、定位置を奪うレベルには至っていない。