まさに野球漬けの1日だ。広島は1日、宮崎・日南で秋季キャンプをスタートさせた。早出練習に始まり、重点練習、さらに夜間練習まで球場で泥にまみれた。早出組の球場滞在時間は最長11時間。ここで流した汗が、3年ぶりBクラスに終わった悔しさを晴らす来季への糧となる。

 夜空の下、球場を後にする表情よりも、マメでボロボロとなった手のひらが猛練習を物語っていた。初日から広島の選手たちはバットを振って、振って、振りまくった。

 緒方監督 特に打撃部門に力を入れていきたい。コーチがいろんなアイデアを持ってくれて、選手も発見ができるのでは。

 朝からバットを振った。全野手が早出に参加。これまでは指名練習。しかも守備が中心だった。初日は7選手が特打に指名され、打撃手袋をつけずにフェンスに沿って素振りをしながら球場を1周。石井打撃コーチは「振る感覚を養う。グリップが利かないから握力が必要となる。痛いのは承知」と素振りの重要性を説いた。

 守備中心の午前を終えると、午後はひたすら振り込む。昨季まで「フリー打撃」「ティー打撃」「走塁」「トレーニング」に分けていたローテーションメニューに「ロングティー打撃」と「バント・連続ティー打撃」が加わった。「時間を有効に使って、待っている時間をなくしたい」と石井コーチ。打撃メニューを細分化することで、意識高く取り組めるメリットがある。

 これまでなら指名制だった重点練習も夜間練習も、今キャンプでは全員参加。最後は早出練習と同じように素振りで締めた。1日のスイング量は800~1000を求める。選手が球場を後にしたのは、日が落ちた午後6時30分。球場滞在時間は最長11時間にも及んだ。1日のスイング量が1000を超えた堂林は「いい練習ができたと思う。意識を持って取り組めた」と充実感を口にした。

 緒方監督 今までにない練習に選手たちは最後まで集中力を持ってやってくれた。最後までやり続ければ力はつく。

 今季、得点力不足に泣いた打撃の意識改革はすでに始まっている。長い、長い秋が始まった。【前原淳】