1軍生き残りアピールだ。広島の塹江(ほりえ)敦哉投手(18)が3日、紅白戦に先発し、3回1安打無失点と好投した。1軍キャンプ初の実戦登板にも、最速145キロの直球を軸に先輩打者を抑え込んだ。1軍首脳陣の前で、手薄な先発左腕候補として存在感を示した。

 とても高卒1年目の秋とは思えない。どっしりした下半身を土台に、塹江が無駄のないきれいなフォームから左腕をしならせた。紅白戦の白軍先発として登板。1軍経験者が並ぶ打線を相手にしても、自信を持って自慢の直球を捕手のミットめがけて投げ込んだ。

 「緊張で体が動かなくなるタイプではない。それを集中力に変えてプレーできる。結果が無失点に抑えられて良かった。今アピールできるのは、真っすぐ力で押すこと」

 1軍キャンプ初実戦登板も、立ち上がりから直球主体に押した。先頭の下水流をこの日最速の145キロで空振り三振。無死二塁の状況でスタートした2イニング目は2四球で2死満塁としたが、鈴木誠を再び144キロの直球で遊ゴロに。3回を投げ1安打3四球無失点。結果でアピールした。

 今季は強化指定選手として、シーズン終盤まで基礎体力強化を中心に取り組んできた。6月29日のユニバーシアード日本代表壮行試合ではNPB選抜として出場。1回を3者凡退に抑えた。シーズン途中から2軍戦に登板し、最速は150キロを計測した。

 英検2級を持ち、シーズン中は外国人選手と英語で会話する。ザガースキーも「俺の通訳」と認める英語力。クレバーな一面は、秋季キャンプでも発揮されている。投球練習後、課題のバント処理を想定して投げ終わりに捕手側に駆け下りる練習を自主的に行っている。

 チームには先発左腕が不足する。今季日本人の左腕投手が先発したのは6試合だけ。割って入る余地はある。畝投手コーチは「今日はいい面を見せてくれた。来年楽しみ。期待はしたい。可能性はある」と高く評価した。塹江も「1軍キャンプに呼んでもらってアピールチャンスをもらった。使ってみたいと思わせたい」と鼻息を荒くする。秋季キャンプでのアピールが、来春キャンプ参加につながる。【前原淳】

 ◆塹江敦哉(ほりえ・あつや)1997年(平9)2月21日、香川県生まれ。高松北で最速150キロを計測の本格派。同校の国立大クラスに在籍し、ニュージーランド留学も経験。14年ドラフト3位で広島入り。入団後は外国人選手の通訳もこなした。178センチ、78キロ。左投げ左打ち。