ラミちゃん流キャンプの幕開けだ。DeNAアレックス・ラミレス新監督(41)が6日、3つのテーマを掲げて秋季奄美キャンプをスタートさせた。10年連続Bクラスからの脱却へ向け、(1)宿舎では選手と風呂に入って意思疎通を図る(2)年下のコーチ陣にも敬意を払って「さん」付けで呼ぶ(3)グラウンドでは課題に挙げた機動力の強化に着手する。初披露した背番号と同じ80勝を目指す。

 ラミレス監督が、キャンプ初日から逆襲への熱意を充満させた。球場入りから約7時間の初指導。バットを片手に、汗を流す選手やスタッフに声をかけ続けた。「優勝するチームにするためにはコミュニケーションは重要。とてもいい1日だった」と笑顔を見せた。

 風呂も意思疎通の場にする。前日5日の夜、正捕手候補の黒羽根と宿舎の大浴場で鉢合わせた。現役時代、外国人初の2000本安打を達成した強打者は「内角に投げないと恐怖心は与えられない。投げられない選手は使わない」と熱血指導。黒羽根がのぼせかけるまで、今季の配球が外角寄りだったデータや外国人打者の心理も伝えた。「お風呂は一番大事な時間かもしれないね」と今後も続けていくつもりだ。

 「裸の語らい」の成果は、すぐに出た。ブルペンでは、配球術を伝授した黒羽根とコンビを組んだ三嶋に熱視線を送った。「内角にストレート」「内角にフォーク」。注文をつけながら140球の熱投を見届けると「内角に一番いいボールを投げていた。このまま続けてくれれば大きなチャンスを与えられるかもしれない」。来季4年目の右腕に、開幕投手候補としての期待を寄せた。

 スタッフへの接し方も「ラミ流」だ。投手陣再建を託す年下のコーチを「さん」付けで呼ぶ。39歳の篠原コーチは「篠さん」、38歳の木塚コーチは「木塚さん」。理由は「コーチングスタッフはとても重要だし、尊敬しているから」と説明した。練習内容も「頼むばかりではなく、意見を聞き取りながら土台をつくりたい」とミーティングを重ねて決められた。

 自ら提案した新メニューも実践した。キャンプ前から掲げていた機動力強化へ、一塁リード幅を4メートルに広げる練習と二盗のタイムを計測。今後も走塁練習には重点を置いていく方針だ。真新しいユニホームに袖を通した新監督は「背番号の80は、来季優勝するために必要な数字」。今季の大失速を糧に、新生DeNAが走りだした。【鹿野雄太】