巨人阿部慎之助内野手(36)に、一塁手と捕手との「二刀流」のプランがあることが11日、分かった。阿部は今季から、一塁手に転向するも、シーズン中に1度は捕手に再転向。首痛の影響で一塁に戻った。来季の起用について、高橋由伸監督(40)は基本は一塁手としながらも、捕手起用の可能性も示唆。既に、秋季練習中に両者で話し合われたとみられ、「週1」で捕手を務める可能性が浮上した。

 慎重な言葉の裏に、高橋監督は明確なプランを頭に思い描いた。報道陣から、阿部の捕手起用の可能性について聞かれ「ゼロじゃないと思いますね」とはっきり答えた。あくまでも、基軸は一塁手に置くが、勝つためにベストな布陣とは何か。正捕手争いは小林を筆頭に、相川、加藤、実松らで競うとみられるが、捕手阿部のプランも、高橋監督の構想に入った。

 今季はシーズン途中に捕手に再転向するも、首痛の影響で再び一塁に戻った。体調面など、現実的に考えれば、「週1」での起用とみられる。高橋監督は「そこまでのプランは全くないです」と前置きした上で「まずは打ってほしい。それがまずは基本」と話した。体への負担を抑えながら、チームに刺激を入れるには、ベストな周期と言える。

 阿部の捕手起用は、攻守でプラスの方向に影響する。攻撃面では、一塁手にも強打の野手の起用が可能で、打線の厚みが増すと考えられる。守備面では、経験豊富なリードもさることながら、抜群の存在感で投手陣や守備陣に絶対的な安心感を与える。さらには、高橋監督にとっても、起用法のバリエーションが増え、起用される阿部の気分転換にもつながる。

 捕手起用の最終決定は、今後の阿部の状態などを慎重に見極めた上で決めるとみられる。ともに生え抜きの野手として、長年チームをけん引。選手会長や主将などを歴任し、固く深い信頼関係で結ばれる。既に、非公式な会話の中では捕手の話題も出たとみられ、高橋監督の期待に応えるために、阿部も今オフから準備を整える。

 ◆今季の阿部起用 昨年の秋季キャンプで原監督から「99%キャッチャーに戻す気はない」と一塁コンバートを伝えられたが、今年4月2日、開幕6試合目に捕手の相川が右太もも裏肉離れで負傷。翌3日から7試合連続で捕手として先発出場した。今季は捕手で25試合、一塁手で78試合に出場。捕手での先発出場は23試合で、小林(56)相川(31)に次いで3番目に多かった。