NPO法人・北海道野球協議会(道協議会)が、札幌市内の新球場建設へ向けて動きだすことが17日、分かった。今日18日に計画の概要を発表する見通し。札幌市は19年から、老朽化した円山、麻生の両球場の改修工事を行う計画だが、施設不足は否めず、新設による抜本的な競技環境の改善が必要と判断。近日中に、一般市民らを対象とした新球場建設に理解を求める署名活動をスタートする方針だ。まずは「民意」の力で、行政に働き掛ける。

 北海道アマチュア野球の新たな聖地が、近年中に誕生する可能性が出てきた。今日18日、道協議会が札幌市内の新球場建設を目指した画期的な活動概要を発表することが、分かった。市民らに競技環境の現在、また近い将来の窮状を訴えることで、新球場建設に理解を求める大規模な署名活動を実施する。近日中に開始し、来春までに30万~50万人ほどの署名を目標に、一定数に到達次第、行政へ提出して問題を提起。「民意」の後押しを受け、完成へと進めたい考えだ。

 現状、競技環境に恵まれているとは言えない。使用料が高額な札幌ドームを除いて、札幌市内で、高校野球など硬式野球の公式戦を開催できる規格は円山、麻生の2球場のみ。ともに老朽化が顕著で、今夏の全国高校野球選手権南北海道大会では、試合中にボールが防球フェンスを突き破り、本部席のガラス窓が大破するなど、1歩間違えば大事故につながる事案も起きた。同市は19年に麻生、20年に円山と1年ごとに使用を停止して改修工事を行う方向で調整を進めているが、工事期間中の大会開催場所など、懸案は多い。

 政令指定都市の同市に2球場のみは、硬式野球の競技人口やチーム数に対して少ないとの見方もある。軟式と硬式では球場の規格が異なるため「高校野球を優先して日程を組めば、中学生の硬式野球をやる場所がない」と関係者。野球の将来的な発展、普及へつなげるためにはハードの整備は必須条件の1つ。道協議会では5~6年ほど前から市側に新球場建設を訴えてきたが、実現の兆しすら見えず「民間の方々の力を借りようと思った」と、今回の計画を実施することを決めた。市民の協力で新球場建設に至った広島市は、良いロールモデルとなりそうだ。

 道協議会には現在、道高野連をはじめ北海道の全カテゴリー18団体が加盟。プロ野球日本ハムも賛同しており、プロ・アマの垣根を越えて、道内の競技発展へ一枚岩となっている。新球場建設となれば、活性化に、これ以上ないスパイスとなりそうだ。

 ◆広島の「たる募金」 プロ野球広島の本拠地マツダスタジアム建設のため、2004年(平16)に地元企業などが中心となって、大々的な募金キャンペーンを展開。1年間で目標額を上回る1億円以上を集め、スタジアム建設の一助とした。たる募金は1951年(昭26)、資金難に陥り消滅危機に直面した球団を救おうと、ファンらが旧本拠地の広島市民球場入り口に四斗だるを置いて始まったとされ、60年代まで継続。親会社を持たない市民球団を支えた。