巨人高橋由伸監督(40)が、“斬り込み隊長”探しに着手した。宮崎秋季キャンプ最終クール3日目の19日、1番打者の候補に立岡、大田、坂本、亀井、長野と5人の名を挙げた。今キャンプ最後のシート打撃では、大田が2安打、立岡も安打を放つなど候補選手が猛アピールした。今季は固定できなかったトップバッター争いは、優勝奪還に向けて大きなカギになりそうだ。

 キャンプ恒例となった練習前の散歩中、高橋監督が現役時代の07年につくった記録の話題になった。先頭打者アーチ9本というシーズン記録だった。「(当時の)原監督に『積極的に行きながら出塁率も頭に入れておいてくれ』と言われたんですよ」と懐かしんだ。監督となった今、1番打者に求める条件は何なのか。「出塁率は大事。大きいのを打てればいいけど、今年の立岡みたいに打ってくれればいい」と切り出すと、坂本、大田、長野、亀井と続けた。

 早速、午後のシート打撃で2人がアピールした。まずは大田。1打席目に右前打を放てば、3打席目は中前打。打撃フォーム改造に取り組んでおり、「長打も打てて足で内野安打も取れる。その特長を見失わないように」と意欲を見せた。

 立岡も引けを取らなかった。3打席目、低めを拾って左前に運んだ。今季は途中から1番に定着したことで自分の物足りなさに気づいた。「三塁打を打てるようにしたい。長打を打てば、2番はバントをしなくて良い。初回から堅い攻撃をしなくて良くなる」。飛躍を目指して体重アップに取り組んでおり、78キロだったのがすでに2キロ増。理想は85キロだ。「とにかく食べて、筋トレです。長打を打つからといって大振りはしない。間を鋭く抜く打球を打つ」と、出塁率と長打力を兼ね備える1番打者を目標にした。

 打力強化を掲げた今秋最後のシート打撃で、期待の若い芽が存在感を示した。高橋監督は「みんなが高いレベルで競争してくれればいい」と全選手に期待した。新たな立候補者も大歓迎。冷静に見極め、ふさわしい斬り込み隊長を見つける。【細江純平】