阪神が23日、中日からFA宣言した高橋聡文投手(32)と契約で合意したと発表した。3年契約で総額1億5000万円の好待遇で、補強ポイントだった中継ぎ左腕を獲得。待望していた金本知憲監督(47)が電話でメッセージを届けるなど、14日の初交渉から移籍を決定的にしていた。今日、復帰の入団会見に臨む藤川球児投手(35=四国IL・高知)に続く補強第2弾となった。(金額は推定)

 曇り空の甲子園に、朗報が届いた。右の恋人、藤川球児に続いて、左の恋人、高橋聡とも合意に達した。「タイガースにお世話になることを決めました」という決意を受け止めた交渉役の高野栄一球団本部長は「補強ポイントであったことに加えて、金本監督の強い要望もあった。球団と監督の意見が合致し、全力をつくしてきました。大変うれしいこと」と歓迎した。

 阪神のFA補強は12年オフの日高以来、3年ぶり。今季は高宮1人が奮闘した中継ぎ左腕の強化は必須で、FA宣言した高橋聡にアタックした。特に現役時代に苦しめられた金本監督は、高橋聡の打者に向かっていく闘争心を、かつての必勝セットアッパー、ウィリアムスになぞらえて評価。14日の初交渉でも電話を入れ「一緒に頑張ろう!」と迫っていた。恋人を振り向かせて「大きな決断をしてくれたことを本当にうれしく思います。高橋君は必要な戦力であると思っていました。来季はタイガースのユニホームを着て、躍動感あるピッチングをしてくれることを期待しています」とコメントを発表した。

 3年総額1億5000万円の好待遇も期待の表れだろう。高橋聡は「第2の故郷でもある名古屋を離れるのは寂しいですが、決めたからには金本監督を胴上げできるよう、少しでもタイガースの戦力となれるように頑張りたいと思います」と決意を示した。現役時代に20打数4安打、6三振と苦しめた新しい指揮官のもとで優勝に向け、全力をつくす。

 「ここまで育てていただいたのはドラゴンズのおかげですし、決めるまでには本当に悩みました」と宣言残留を認める中日への恩義とのはざまで揺れながら、新天地にかける思いで別れを告げた。10年には自身最多の63試合に登板し、4勝1敗35ホールドポイントの好成績で中日優勝に貢献した。16年からはタテジマをまとい、その左腕を振る。

 ◆高橋聡文(たかはし・あきふみ)1983年(昭58)5月29日、福井県生まれ。富山・高岡第一では2年春にセンバツに出場。01年ドラフト8巡目で中日入団。3年目の04年4月13日、巨人戦(東京ドーム)でプロ初登板。14年5月に国内FA権を初取得していた。通算401試合、17勝14敗1セーブ116ホールドポイント、防御率3・38。176センチ、85キロ。左投げ左打ち。