大砲育成にどこまでも! 阪神掛布雅之2軍監督(60)が23日、期待の2年目横田慎太郎外野手(20)らが参加するアジア・ウインターリーグを視察するプランを明かした。今月28日から台湾で開催される実戦の場で、横田や陽川らがどこまで成長するかチェックするのが狙い。金本知憲監督(47)から託された横田の育成に、距離も時間も労力も無制限で取り組む。

 掛布2軍監督が笑みを浮かべながら仰天プランを口にした。その目には、はるか遠く台湾の地で武者修行に励む若虎たちの姿が浮かんでいるようだ。2軍監督として期待される大砲育成の使命感から、オフ期間に海外へ足を運ぶ可能性を打ち明けた。

 「時間が許すんだったらちょっと見たい気持ちもあるんですけど。時間が取れるかどうか分からないんで」

 燃える2軍監督が描くのは、今月28日から台湾で開催されるアジア・ウインターリーグの視察だ。阪神から参加するのは投手では岩貞と育成の田面。野手では陽川と横田。なかでも2年目の横田は鳴尾浜キャンプを訪れた金本新監督が「5~6年かけて3割40本。そういうつもりで育てていきたい」と大器の期待を寄せ、継続的に指導している掛布2軍監督に託したという経緯がある。台湾視察の主な目的も、実戦で横田の動きを観察することだろう。

 金本監督から“預け”られた横田には、秋の鳴尾浜キャンプで徹底的に打撃指導した。スタンスやステップを小さくし、レベルにスイングする新打法を教え込んできた。キャンプ終盤には同リーグでのノルマとして「3~4試合に1発。難しいかも知れないけど打率は2割8分」と厳しい数字を課した。成績やレポートだけでは測れない、実戦での打撃内容を確かめるには、自ら台湾まで飛ぶしかないという考えだ。

 「まだ今は決まってないんだけど、球団とも話はしている。それなりのものは(高野球団)本部長なんかと言ってはいるんだけどね」。スケジュールの折り合いがつくことが前提ではあるが、球団側とも台湾視察について調整を進めているという。野球協約で、12月と翌年1月はポスト・シーズン(オフ)期間と定められ、監督、コーチが選手を直接指導することは制限されている。しかも日本を離れてプレーする「愛弟子」を追いかけるのは、異例の行動力だ。それでも、見ずにはいられない。この衝動は掛布2軍監督の、指揮官としての熱い意欲にほかならない。“超変革”はファームから。燃える背番号31にオフはない。【梶本長之】

 ◆アジア・ウインターリーグ 台湾の「中華職業棒球大連盟」が運営母体となり、若手育成を目的とする。12年に日本、台湾、ドミニカ共和国が参加し初開催。13年は韓国も参加。2年ぶり開催の今年は11月28日から12月17日まで20日間、日本、韓国、台湾、台湾アマ、欧州選抜の5チーム。日本は巨人の大森剛育成部ディレクターが監督を務め、阪神、巨人、中日、ヤクルト、DeNA、ソフトバンクの6球団混成。阪神からは田面、岩貞、陽川、横田が出場。巨人岡本、中日高橋周も参加。過去に阪神は、12年に伊藤和、島本、中谷、一二三、13年には二神、歳内、一二三、緒方の各4人を派遣した。