英語力はノープロブレム? 広島前田健太投手(27)が28日、広島市内のショッピングモールで行われたトークショーに参加した。子どもから英語が話せるか、との質問が飛んだが、ポスティング制度を利用した大リーグ挑戦希望を伝えている右腕の舌も滑らか。「Yes、Yeah」。流ちょうな? 英語を披露した。メジャー挑戦について12月上旬にも結論が出るが、認められた場合の準備は着々と進んでいる?

 「英語はしゃべられますか?」

 父親に抱っこされた小さい子どもから、メジャー移籍を希望する男にとって直球? の質問が飛んだ。耳を傾け、内容を理解した前田の表情は、笑顔から徐々にドヤ顔に変わった。

 「Yes!」

 発音のいい英語で答えると「Yeah Yeah.Yes」とニヤリ。さらに「ノース…」と言いかけたところで「墓穴を掘るといけないからやめておこう」とごまかした。イベント会場を埋めたファンからは拍手と爆笑が起き、前田も照れくさそうに笑った。

 25日のCS放送公開収録では、球速表示がキロからマイル表示に変わる“大リーグネタ”でいじられたが、この日のイベントでは自らネタを絡めてみせた。

 24日に球団にあらためてポスティング制度を利用して米大リーグ挑戦希望を伝えた。球団は慎重に検討を重ね、12月上旬にも結論が出る方向。許可が出れば当然、英語が堪能に越したことはないが、イベント後「しゃべられないですよ」と笑って否定。だが「Yes!」と断言したのは、すべてがリップサービスというわけでもないだろう。

 シーズン中から外国人選手と積極的にコミュニケーションを取る。「個人でどうこうではなく、チームですから。外国人選手も不安だと思うので、話そうとはする」。今年はぽっちゃり体形のザガースキーをいじり、春季キャンプ中には「ハイチュウ」をプレゼントしたこともある。

 海を渡ることになれば、言葉の壁が待ち受ける。米国挑戦を口にしたときから覚悟している。英語力の真偽は不明だが、マウンド同様の対応力で、トークショーを盛り上げてみせた。【前原淳】

 ◆日本人大リーガーの英語力 大リーグに挑戦する日本選手は専属の通訳が付くケースが多いが、英語が得意な田口(元カージナルス)や長谷川(元マリナーズ)は通訳なしで米記者の質問にも流ちょうに答えた。英語がほとんど話せない川崎(ブルージェイズFA)も通訳を付けず、自己流で磨いた。つたなくても必死に思いを伝えようとする姿がファンの心をつかみ、今季のポストシーズンのテレビインタビューは「歴史に残る」と称賛された。また、イチローは記者会見や取材では必ず通訳を付けるが、チームメートとは英語とスペイン語を操り積極的にコミュニケーションを図っている。