中日ドラフト1位の東海大相模・小笠原慎之介投手(18)に突然アニキが誕生? 中日の新人選手が12日、ナゴヤドームなど球団施設を見学した。小笠原はナゴヤ球場で、チームでかねて似ていると評判だった杉山翔大捕手(24)とバッタリ遭遇。期待のルーキー左腕に、顔そっくりな強い味方が現れた。

 まさに運命的な出会いだった。小笠原がウエートトレーニング室の扉を開けると、トレーニング中のナインから「似てる!」と声が上がった。ナインの視線は、2人の顔を交互に移った。入り口に立つルーキーと、奥にいた3年目の杉山。うり二つの顔に、大盛り上がり。そっくりさんのご対面だった。

 杉山が「本当に似ていますよね…」と驚くと、施設見学に付き添った小笠原の母美智子さんは「いえいえ、こんなイケメンに似ているなんて言ってもらえてうれしいです!」と恐縮した。すると杉山は「息子さんもイケメンということですよ! これからは『義理の母』と言わせてください。よろしくお願いします」と、よどみなく親子関係をお願い? した。

 杉山はまず美智子さんに深々とお辞儀。小笠原ともがっちりと握手を交わし、兄弟の契りが成立した。これまで小笠原家の長男として育った左腕は「すごく優しい先輩です。(似ている?)いや、失礼になるので…」と、アニキ誕生に戸惑いの表情だった。

 兄は無条件に心強い。全国制覇した左腕でも、高卒でプロの世界に飛び込むのは不安も多い。来季4年目を迎える杉山も谷繁監督が引退した後の正捕手争いの真っただ中にいる。ともに1軍での活躍を目指し、助け合いながら自分を磨く。杉山がアニキとして、公私でリードするはずだ。

 小笠原はこの日、ナゴヤドームやナゴヤ球場、選手寮をじっくりと見て回った。「環境がとても整っている。グラウンドと寮、トレーニングルームが近い。時間を見つけてトレーニングができる」。目標に掲げる「新人王」に向けて、時間を惜しまず汗を流すと目を輝かせた。仁村、堂上、大豊、新井…。兄弟愛は中日の伝統だ。来季のスローガン「竜魂燃勝」を地でいく義兄弟物語を、小笠原-杉山のバッテリーが紡いでいく。【宮崎えり子】

 ◆杉山翔大(すぎやま・しょうた)1991年(平3)2月10日、千葉県旭市生まれ。東総工1年から捕手。高3夏は東千葉大会8強。早大では2年秋から一塁と三塁。4年春は5本塁打で一塁のベストナイン。12年ドラフト4位で中日入団。今季は64試合に出場し3本塁打、打率1割8分3厘。173センチ、88キロ。右投げ右打ち。

 ◆中日の兄弟プレーヤー 慎一と省三の江藤兄弟は69年に同時在籍。薫と徹の仁村兄弟や剛裕と直倫の堂上兄弟、日本ハム監督を務め「親分」と呼ばれた大沢啓二の兄清と紀三男も中日に同時期に在籍。広島で大砲として活躍したエイドリアン・ギャレットの弟ウェインは79、80年に中日でプレー。同じく広島デーブ・レーシッチの弟ゲーリーも中日で活躍した。

 ◆中日のそっくりさん 森野のそっくりさんとして知られる「もしも将彦」(一般人)はユニホーム姿で北谷キャンプやナゴヤドームのスタンドに現れ、本人と間違えるファンがチラホラ。インターネット上では今季で退団したルナと女優石原さとみ、また森野と女優広瀬すずが似ていると話題になった。山本昌広氏や落合GMの「細かすぎるモノマネ」で知られる牧田知丈が選手会納会にゲスト参加したこともある。