オレ流の大シャッフルが、今年は意外な形で行われることが15日、明らかになった。来年1月に新人12選手を迎え入れる中日の独身寮「昇竜館」(名古屋市中川区)で、全選手の部屋を変える。背番号やコーチの配置転換などで活性化を促してきた落合博満GM(62)が主導し、若竜のモチベーションアップや気分転換を図る狙いがある。

 今オフ、昇竜館からは大量13選手が退寮し、12人が残る。その全員がフロアチェンジ、または同じ階の別部屋にスライドする。つまり、全選手が部屋を変わることが決まった。退寮者が多いことを契機に気分転換を図るためだ。落合GMといえば、監督時代から背番号のシャッフルやコーチ陣の配置転換でチームの活性化を図ってきた。今度は「引っ越し」を敢行する。

 10月のドラフト会議後、落合GMに松岡館長、伊藤副館長を交えて「部屋割り会議」が行われた。まず新入団するドラフト指名選手を近年のセオリー通りに割り当てた。最上階の4階の角部屋には、最年長26歳の5位阿部が入る。2位佐藤、3位木下ら、大学や社会人出身の選手も4階に並んだ。もう一つの角部屋には、今季10勝した若松が配置された。ここは昨年1位の野村が入っていたが、今オフに退寮した。

 1位の東海大相模・小笠原慎之介投手(18)には、今回のシャッフルで偶然の産物があった。本来なら4階だったが、年齢が近い選手が多い3階に…元左腕エースで、現在オリオールズのチェン・ウェインが使っていた部屋が割り当てられた。チェンは18歳だった04年に台湾から来日して以来昇竜館に住み、同じ敷地にあるナゴヤ球場、室内練習場で研さんを積んだ。5年目でようやく開花し、12年からはメジャー屈指の左腕として飛躍した。同じ大型左腕の小笠原には背中を押されるエピソードになる。

 寮には高卒ルーキーから26歳までの24人が入る。若松以外は1軍経験が乏しい選手ばかり。鍛錬に打ち込める環境はすでにある。オレ流の部屋替えマジックがジャンプアップの契機になるかもしれない。【柏原誠】

 ◆昇竜館 03年11月竣工。2~4階の3フロアに9部屋ずつあり、清掃業者の部屋などをのぞいて25~26人が入居できる。1階は食堂、風呂など。4階が最も静かで見晴らしもよく、1軍に近い選手が入るケースが多い。当初、新人は401号室が1位、402が2位…と自動的に割り振られたが、近年は年齢なども考慮される。基本は独身者のみで、高卒新人は4年で退寮する決まり。