阪神が、来季の守護神候補として米大リーグ・タイガース傘下3Aトレドのラファエル・ドリス投手(27)の獲得を目指していることが16日、分かった。193センチの長身から投げ下ろすドミニカ共和国出身の剛腕で、内野手から投手に転向した異色の経緯を持つ。すでにパドレスのマルコス・マテオ投手(31)の獲得が決定的で、救援タイプの右腕を複数、同時に獲得すれば球団史上初となる。

 絶対的な守護神だった呉昇桓の不法賭博疑惑での交渉断念を振り払う、鮮やかなスピード補強だ。マテオ獲得が決定的になったのもつかの間、同時進行で交渉していた「もう1人の助っ人」の阪神入りも現実味を帯びてきた。球団首脳は「複数とるというのは監督とも確認している」と説明するように、阪神では珍しい外国人投手ダブル獲得の流れになりそう。今季、タイガース3Aでプレーした剛腕にピタリ、照準を合わせた。

 候補として急浮上したのはラファエル・ドリスだ。メジャー登板こそカブス時代の13年を最後に遠ざかるが、今季は3Aで43試合に登板した。いずれもリリーフ。長身から角度のある150キロ超の速球とスライダーを軸に投げ込んでくる、ドミニカ共和国出身の剛腕だ。いわゆるパワーアームで、27歳の年齢を考えても将来性を見込んだ補強だろう。米球界関係者も「カーブやフォークも覚えようとしていて、伸びしろがあるんじゃないか」と評した。

 驚くべき点は身体能力の高さだ。同関係者は「アメリカに来る前はショートをやっていたんだ」と明かす。06年にアリゾナルーキーリーグのカブスでプレーする前は遊撃手だったことが判明。渡米後、投手に転向した。遊撃手出身なら、機敏な動きはお手の物だろう。潜在能力は規格外で、日本で細かい投球技術を学べば一気に開花する可能性もある。13年には藤川とカブスで同僚で、今冬は母国ウインターリーグでマテオとチームメート。なじみやすい環境は労せずして整っている。

 これまで前広島のヒースやホワイトソックス傘下3Aのクレトらをリストアップしていたが、さらに絞り込んで、ドリスに果敢にアタックしている。8日にタイガースとマイナー契約を結んで春季キャンプに招待されることが決まったばかり。米球界は、これからクリスマス休暇に向かうため、ともに正式契約は年明けになる可能性が高い。

 阪神が右腕の救援助っ人投手を同じタイミングで獲得するのは前例がない。フロントもチームスローガンの「超変革」を実行。常識にとらわれない補強で、金本体制をもりたてる。

 ◆ラファエル・ドリス 1988年1月10日、ドミニカ共和国ラロマーナ生まれ。04年にカブスと契約し、11年にメジャー初登板。13年オフにカブスを退団し、以後ジャイアンツ、タイガース傘下に所属。メジャー通算40試合、2勝4敗4セーブ、防御率5.48。3A通算72試合、8勝6敗5セーブ、防御率4.95。193センチ、98キロ。右投げ右打ち。

 ▼阪神が同一年オフに外国人リリーフ投手を複数獲得すれば、02年オフのポート、ウィリアムス以来。翌03年ポートは8試合の登板で1敗1セーブに終わり、1年で退団。同年シーズン中に獲得した右腕のリガンが、代わって中継ぎ役を務めた。一方ウィリアムスは7年間在籍し03、05年Vに貢献するなど、球団屈指の名助っ人となった。