巨人阿部慎之助内野手(36)が30日、引き際の美学に復活への思いを込めた。今季は中日谷繁監督や西武西口ら、しのぎを削った先輩のほか、同学年の阪神関本も現役を退いた。阿部も「最近、野球がなくなったらどんな感じになるかとかを考える。年の近い人がどんどんやめていく。俺もいつかな、と考える」と言う。だからこそ現役生活に悔いを残したくない思いは強い。

 「あんまり言いたくないけど、本当は捕手でやめたい」。今季は一塁手でスタートするも、相川の故障で緊急措置として捕手に復帰した。慣れ親しんだホームベース後方から野球を見て実感した。「捕手はやっぱり楽しい。自分が試合に出ている姿をテレビで見たけど、ニコニコしてやってたよ」。もちろん、どのポジションでもチームのために全力を尽くす覚悟は変わらない。だが、「捕手でプロに入って、捕手で打って、ここまで稼げた。本当はこれが理想だよ」が本音だ。

 もう1つ、かなえたいのが「やめるまでにもう1回、30本は打ちたいな」。361本塁打を積み上げてきたが、13年の32本以降は24本、14本と下がっている。「王さんもやめた年(80年)に30本打った。すごいよな」。あえて引き際の美学を語ったのは、まだまだ第一線で戦う覚悟の証しだ。来季は3年ぶりに30発の大台を突破し、健在ぶりを証明する。【細江純平】