期待の高さを象徴する光景だった。22日正午前、鳴尾浜での合同スタッフ会議を終えた阪神金本監督、掛布2軍監督らはそのまま、室内練習場へ。お目当ては3カ月ぶりにフリー打撃を解禁したドラフト1位高山俊外野手(22=明大)だった。

 報道陣をシャットアウトした室内で、打撃投手の球を約6分間にわたって打ったという。スタッフ会議で2軍安芸キャンプからのスタートが決まっていた。ただ、高山の打撃を見た指揮官が“未練”をのぞかせたほどだった。

 金本監督 (2軍スタートは)手術もあったので無理をさせたくない。練習を見ると、振れてますね。連れていきたくなりました。でも、決めたことなので。

 東京6大学通算安打記録を塗り替えた男。1軍で見たい気持ちはあったが、右手首骨折から回復途上であることを考慮した。

 高山 僕のことを考えてくださって、僕としてはありがたいというか、頑張っていこうと思っています。今日は3カ月ぶりに前からくる球を打ちました。本当に懐かしいというか、久しぶりという感覚でした。

 将来のクリーンアップと期待されるスラッガーは練習内容のステップアップに充実を感じながら、2軍キャンプからはい上がる決意を示した。

 高山 キャンプの流れが分からないので、いつまで(に昇格)という目標は分からないですが、僕としては1日でも早くという気持ちです。

 本格競争が始まる時に自慢の打撃が全開ではない。もどかしい気持ちもあっただろう。ただ、あくまで視線は1軍を見据えていた。【鈴木忠平】