文句なしの滑り出しだ。ロッテのドラフト1位、平沢大河内野手(18=仙台育英)が2日、今キャンプ初となる屋外でのフリー打撃を行った。計52スイングで、安打性の当たりは21本を記録。柵越えは6本を数えた。広角に強い打球を打つ持ち味をいかんなく見せ、首脳陣からも高い評価を受けた。

 打撃投手の動きに合わせ、平沢はグッとバットを引いた。グリップは両肩のラインよりやや上。ぴたりと定めたトップから素直に振り下ろした白木の芯で、ボールを射貫いた。「びっくり。木(木製バット)の方が捉えたら飛びますね」と自分でも驚いた。そのまま中堅後方バックスクリーン手前の芝生まで行った。推定125メートル弾。追い風6メートルを差し引いても、並の当たりではなかった。

 左右の違いを苦にしない。右投手から26スイングで安打性13、柵越え3。左投手から26スイングで、柵越えは同じく3。強引さもない。外寄りの球は、しっかり逆方向へ打った。「まずは強く振ることが一番大事」。首脳陣の「遠くに飛ばすことを意識するように」という指示を守った結果の柵越え6本だ。

 積み重ねがある。高校生は木製バットに苦しむケースがある。平沢は高校1年の秋から、練習では木で振り込んできた。プロを意識していた証し。意識の高さは、この日も表れていた。ティー打撃やバント練習の合間、ケージに立つ大嶺翔や加藤を何度もチラ見。「みんな打球が速くて、パワーがある。もっと技術を高めたい」と教訓を得た。キャンプイン前「見て学びたい」と言ったとおりだった。

 最後のスイングを終えると、石田打撃投手が思わず「良いバッターだ!!」と叫んでいた。キャリア20年を超える重鎮を驚かせた。伊東監督は「高校生にしては力強い振り。雰囲気はジャイアンツの亀井。左を苦にしない」と、広角打法の好打者を挙げた。当の平沢は「飛距離は伸びている。自信にしたい。でも満足しちゃいけない。もっと振り込んでいきたい」と引き締めた。まだ始まったばかりと言わんばかり。されど、この上ない印象を残した。【古川真弥】

<平沢大河(ひわさわ・たいが)アラカルト>

 ◆生まれ 97年12月24日、宮城県生まれ。名前の由来は「アマゾンに冒険に行くような大きな子になるように」と母恵さん。176センチ、76キロ。右投げ左打ち。

 ◆3拍子 仙台育英・佐々木順一朗監督は入学時の第一印象について「振れる子。守備は人間離れした動きをする」。1年春からベンチ入り。

 ◆甲子園3発 昨夏準優勝の甲子園で大会3本塁打。成田翔(秋田商)ら、3本とも左投手から放った。左打者の3発は大会最多タイ(5人目)。

 ◆神宮5割 14年秋の明治神宮大会で優勝。3試合で10打数5安打、5打点。

 ◆ジャパン 昨年のU-18W杯で準優勝。9戦10打点で遊撃手ベストナイン。

 ◆1軍 高卒新人野手のキャンプ1軍スタートは、ロッテでは03年西岡(現阪神)以来。公式戦開幕スタメンなら、ロッテの高卒新人では東京時代の65年山崎裕之以来となる。