【ピオリア(米アリゾナ州)8日(日本時間9日)=本間翼】日本ハム大谷翔平投手(21)の「二刀流」での調整が本格化してきた。今季初の対外試合となる韓国ロッテ戦に「3番DH」で出場し、第1打席に左前打を放った。スタンドにはカブス、ジャイアンツなど、今キャンプ最多、メジャー13球団以上が陣取った。さらに、日本陸上界の新星サニブラウン・ハキーム(16)も姿を見せるなど、注目度はうなぎ上り。試合前には今キャンプ初の打撃投手も務め、投打両方で能力の高さを見せつけた。

 今季の対外試合チーム初安打を放ったのは大谷だった。1回2死、変化球2球で1ボール1ストライクとなった3球目。韓国ロッテの右腕・朴世雄の147キロ直球を左前に運んだ。「初見の真っすぐですし」と、やや差し込まれたが、ライナーで三遊間を破った。「甘くきたところをしっかり振れて良かったです。自分の形で振っていくことが大事」。無理に引っ張らずに左方向に強く押す、大谷らしい打撃だった。

 スタンドからは、カブス、ブルワーズ、マリナーズ、ツインズ、マーリンズなどメジャー13球団以上のスカウト、関係者が熱視線を送っていた。さらに渡米中で、日本陸上界の将来を背負うサニブラウン・ハキームの姿も。大谷は、周囲の好奇の目を一身に集めていた。2打席目は一塁ゴロに倒れて途中交代したが、天然芝が緑に映え、暖かい日差しが注ぐピオリアのメーンスタジアムでの初めての一戦に「気分はいいですよね。芝もきれいですし」と、野球を楽しむ余裕を見せていた。

 試合前には、今季初めてフリー打撃に登板した。3年目の渡辺を相手に18球を投げ、力強い投球で安打性の打球はゼロ。「まだまだだなぁと思います。僕だけの練習じゃないので、取りあえずストライクをという感じ」と、本人の評価はシビアだが、ヤンキースのスカウトとして松井秀喜獲得に動いたジョン・コックス氏(現ジャイアンツ環太平洋スカウト)は「ネクスト・ダルビッシュだね。技術面だけでなく、アメリカの環境も合っていると思う。今は投手の方が技術的に優れているけど、打者としても技術がある」と、投打両面で能力の高さに魅了されていた。

 この日の「打者・大谷」に続き、明日10日(日本時間11日)の韓国ロッテ戦では、今季初の実戦登板も予定されている。「特に変えることはないです。(練習の)延長線上だと思って、抑えられたらいいです」。ジョン・コックス氏は予告した。「また。10日に来るよ」。当日はこの日以上のメジャー関係者で、スタンドが埋め尽くされそうだ。