座らせたらもっとすごかった! 中日のドラフト1位、小笠原慎之介投手(18=東海大相模)が9日、初めて捕手を座らせたブルペン投球で33球を投げ、最速146キロをたたき出した。今回は6~7割の力で投げたといい、優勝した昨夏の甲子園で出した151キロ超えも視野に入った。第3クールでは連投を目標とし、次のクールでは打者に対する予定。注目左腕が一気にアクセルを踏む。

 約15球の準備投球を終えると小笠原が、捕手に座るよう合図を送った。ブルペン内が緊張に包まれた。ノーワインドアップから力のある球を投げ込む。圧巻は「残り3球」と言ってからだ。

 少しギアを上げると、捕手加藤のミットが高い音を立てた。捕手後方で見ていた谷繁監督がスピードガンをのぞきに行く。33球を投げ終わったあと、森ヘッドコーチがMAXを確認。「146? じゃあ次は150だな」と森ヘッド。さらに「マシン(ガン)が壊れているんじゃないか?」と冗談めかした。剛球は146の数字が意外に感じない迫力を帯びていた。

 「そんなに出ていたのかと。今日は6~7割の力で投げて、7割が多かったと思う。肘のことで投げ始めだし、飛ばしすぎたら故障してしまうので。すごい、いい状態にある。このまま維持していきたい」

 余力を十分に残していたことを明かし、絶好調宣言が飛び出した。昨夏に痛めた左肘の不安はどこへやら。33球中、審判のストライクコールは18球で、ボールも際どいものばかり。5日の初ブルペンから中3日でまた加速した。MAXは甲子園での151キロ。速さより質を求め数字にこだわっていないが、昨年西武菊池が出した左腕史上最速157キロ超えにも期待が高まる。

 阪神飯田スコアラーは「うちの藤浪のような球」と舌を巻き、ヤクルト志田スコアラーは「ものが違う。右打者の内角球はプロでも一級品」と評した。今日10日はブルペンを控えるが、このクール中には連投も視野に入れる。第4クールではフリー打撃登板を目指す。投げるたびに注目度が増していく。「160キロ? それは無理ですね」と笑顔で頭をかいた18歳。そのしぐさに少しの自信も垣間見えた。【柏原誠】

 ▼日本人左腕史上最速は157キロで、西武菊池が昨年9月13日ロッテ戦(西武プリンスドーム)の2回にデスパイネを二ゴロに打ち取った際に記録した。ソフトバンク川原が2軍戦で158キロをマークしているが、1軍戦では菊池が最速。