超遅球じゃ~! 広島ドラフト2位の横山弘樹投手(23=NTT東日本)が日南キャンプで11日、シート打撃に初登板。打者6人に対して2安打、1奪三振。自慢の超遅球チェンジアップを披露した。球速は96キロで、最速145キロを記録した直球との差は49キロにも及ぶ。さらにこのチェンジアップは変化幅、球速ともに自在に調整可能。無限チェンジで、開幕ローテに前進だ。

 ハエが止まるとはこのことか。横山の超遅球。ネット裏のスピードガンは「96キロ」を表示していた。腕の振りは直球と大差ない。これが投手・横山弘樹だ。「実戦向き」の触れ込み通り、引き出しを開けてきた。最速145キロを記録した直球との球速差は実に49キロ。このチェンジアップで打者のタイミングをずらした。

 横山 武器ですね。ただ思ったより見切られていると感じました。難しいけど投げないといけない。高低、内外、緩急はコンビネーションをつけて打ち取るのが僕の持ち味なので。

 ルーキーらしく謙虚に振り返ったが「状況に応じて変えられます」と続けた。球速、変化幅ともに自在に調節が可能というから驚きだ。だが、緩急一辺倒ではない。直球平均球速はおよそ143キロ。シュート以外の変化球もすべて投じた。鈴木と堂林に右前打を浴びたが、前評判通りのクレバーな投球だった。

 サングラスを外して軌道をチェックしたのはヤクルト衣川篤史スコアラーだ。「あの緩急があって、制球がばらつかない。いいときのDeNA加賀美みたい。邪魔なボールになるね。変化球でカウントもとれる」と警戒し、ペンを走らせた。山なりではない超遅球。組み立てを含め、ゲームメーク能力は高そうだ。

 横山 何か飛び抜けていいボールがあるわけではない。真っすぐも最後の130キロ台後半の方が、打者の反応を見てもよかった。もっと磨いていきたい。

 手先が器用なのだろう。昔から変化球の取得に苦労したことはなく「いきなりブルペンで投げてみたくなるタイプ」と言う。“無限チェンジアップ”も大学時代のチームメートに教わり、アレンジを加えて現在の形に行き着いた。先発ローテを狙う即戦力右腕。次なる引き出しが楽しみだ。【池本泰尚】

 ◆横山弘樹(よこやま・ひろき)1992年(平4)3月12日、宮崎県出身。宮崎日大-桐蔭横浜大-NTT東日本と進み、ドラフト2位で入団。社会人1年目の都市対抗で2勝を挙げて若獅子賞を受賞。最速150キロの直球にチェンジアップやカットボール、ツーシームなど6つの変化球を持つ。187センチ、86キロ。右投げ左打ち。