ストッパー復帰を目指す中日福谷浩司投手(25)が初実戦で本来の姿を見せた。14日、DeNAとの練習試合(北谷)の7回に5番手で登板。ダイナミックなフォームが復活し、最速148キロで押し切って3人を6球で片付けた。抑え候補筆頭とされながら、調子が上がらなかった剛腕。チームの課題でもある必勝リレーの軸として頼もしい1歩になった。

 左足を上げて立つ姿が決まっていた。そこから体重移動しながら、ため込んだパワーを指先にすべて伝える。フィニッシュで上半身がねじれる迫力あるフォームが復活した。福谷が本来の姿を取り戻した。

 「今日は結果うんぬんではなくて、自信になる投球ができました」

 7回先頭の桑原に145キロファウル、この日最速148キロで中飛に。白根は初球は遊ゴロ。山下幸も140キロ台中盤を連発して3球でしとめた。押しまくって、計6球で3アウト。14年後半に抑えを任され、11セーブ、防御率1・81をマークした当時がよみがえる投げっぷりだった。

 転機は9日のシート打撃。制球が不安定で、ストライクに投げれば打者に捉えられた。森ヘッドコーチに「らしさがない」と迫力不足を指摘され、全身を思い切り使う投法を試した。ブルペンで「全力フォーム」を固めてきた。この日、その投げ方でも制球が安定したことに「そこが一番ホッとした。いいバランスで投げられた」と振り返った。

 開幕から抑えを務めた昨年は、制球も球質も不安定で救援失敗を繰り返した。中盤からは2軍生活だった。試行錯誤の毎日。失敗を恐れるあまり、最大の持ち味を忘れていたのかもしれない。友利投手コーチは「よかった。本人が一番ホッとしていると思う。久しぶりに指にかかった球を見た」と称賛した。

 初日から密着してきたヤクルト志田スコアラーは「キャンプの最初の方はどうかと思っていたけど、第3クールから戻ってきている。力で押していた。ポテンシャルはすごい投手ですから」と舌を巻いた。

 「おととしの自分を超えるつもりでいる」という福谷の言葉が頼もしい。「昨年(抑えの)居場所をいただいた。いずれそこに戻りたい思いでキャンプをやってきた。(挑戦者という)立場をわきまえて、目の前に集中したい」。進むべき道は決まった。苦しんだ分だけ、鬱憤(うっぷん)を爆発させるつもりだ。【柏原誠】