広島のドラフト1位岡田明丈投手(22=大商大)がデビューし、2回を無安打無失点だった。この日、大瀬良大地投手(24)の右肘違和感による離脱が明らかになった。昨年15勝のマエケンの穴を埋めるはずの大瀬良に非常事態-。チームの危機を、前日20日に好投したドラフト2位横山弘樹投手(23=NTT東日本)ら若鯉が救う。

 岡田は変わらず、感情は出さなかった。5回2死で打席に村田。直球3球で追い込み、チェンジアップが外れてカウントは2-2となった。勝負球。選択したのは自身をプロへと導いた直球だった。外角高めに149キロを投げ込み、バットが空を切る。どよめくスタンドをよそに、ゆっくりとマウンドを下りた。

 「三振を狙いにいって、結果的にとれた。緊張も少ししましたが、楽しもうと思ってマウンドに上がりました。これをしたらアカン、ではなくて、いい緊張感で前向きに投げられた」

 対外試合デビュー戦で、相手は巨人だ。打線もそうそうたる顔ぶれが並んでいる。紅白戦ではボークや状況判断のミスを連発したが、この日は違った。1つ1つ頭で整理し、自分の投球を心がけた。4回から2イニングを投げ、無安打無失点。5回は二塁失策で出塁を許したが、亀井を直球で詰まらせて二ゴロ併殺。岡田は落ち着いていた。

 キャンプ前に買った1台のパソコン。物欲がない男が“初任給”で買った唯一の品だ。用途は「日記です」。キャンプインから気になったことや投球の感覚を書きためている。見て振り返ることは少ないが「1日を整理したり、何でよかったかとか、原因を整理出来る」と言う。「落ち着いて、頭を整理してから投げる」。紅白戦後に書いた短い文章。この日はクリアしてきた。

 中継ぎ候補としても期待されるが、大瀬良の離脱もあって先発に加わる可能性もある。緒方監督は起用法を確定せず「もう少し球数も投げてもらう。巨人戦で、最高のデビュー戦。自信を持ってくれたらいい」と期待を寄せた。「課題もあるので、1つ1つクリアしていきたい」と岡田。ドラフト1位の即戦力が、広島を明るく照らしている。【池本泰尚】