コイの季節に帰ってくる! 広島大瀬良大地投手(24)が16日、キャッチボールの強度を上げた。沖縄春季キャンプ中に右肘を痛めて離脱し、先月26日からリハビリを開始。順調にステップを踏み、今月11日からはキャッチボールを再開した。明確な復帰時期は未定だが、このまま順調に進めば5月上旬の復帰も見えてくる。

 球の軌道と力強さが増した。距離、球数が決められた中、大瀬良は「今日は自分の中でも大丈夫かなというのがあったので」と力を加えた。距離は前日15日に5メートル延びて25メートル。山なりでの前日50球から、この日は力を入れ45球投じた。

 「焦る気持ちはあります。ケガしてチームに迷惑をかけてしまったので。でも、こうなった以上は戻ったときにより強くなっていたい。5月の早い時期には戻りたい」

 再発の危険性が伴う箇所だけに、リハビリには慎重を期す。石橋をたたきながら1歩1歩復帰へ歩を進めている。リハビリ中に問題が生じなければ、6月までずれ込むことは考えにくい。5月中の復帰が濃厚で、順調にいけば5月上旬の1軍復帰も見えてくる。

 2月25日に「右肘内側側副靱帯(じんたい)部分損傷」と診断され、翌26日からリハビリを始めた。キャッチボールは今月11日に再開したばかり。単調なリハビリとトレーニングが続き、投げる喜びをあらためて気づかされた。中学時代に右肘を手術した経験がある。ただ当時はチームの4番だったため、左投げを練習して一塁手として試合に出続けた。今、野球人生で最も長くプレーから遠ざかっている。

 「早く投げたいです。トレーニングがきついこと以上に、投げられないことが耐えられない」

 早期復帰へ前を向く。リハビリを見守る福永3軍チーフトレーナーは「僕たちの前で決してナーバスなところは見せません」と話す。自宅でも、昨秋購入した超音波治療機を使用し早期回復に努める。こいのぼりが踊るコイの季節とともに、頼れる右腕が帰ってくるかもしれない。誰よりもそう強く信じて、復帰への歩みを進めている。【前原淳】

<大瀬良のキャンプからここまで>

 ◆2月1日 初ブルペンで50球のピッチング。

 ◆同2日 ブルペンで65球。練習後にキャッチボールでフォームチェック。

 ◆同7日 フリー打撃登板も43球中13球ボール。

 ◆同8日 別メニュー調整(翌9日からキャッチボールで調整)。

 ◆同11日 ブルペン投球を再開し69球。

 ◆同17日 フリー打撃登板で打者6人に30球、安打性なし。最速146キロ。

 ◆同20日 ブルペン投球中、右肘に違和感。

 ◆同21日 右肘違和感で侍ジャパンを辞退。

 ◆同22日 チームを離れ、広島に戻る。

 ◆同25日 精密検査の結果「右肘内側側副靱帯(じんたい)部分損傷」と診断される。

 ◆同26日 リハビリ開始。

 ◆3月8日 肘周りの筋力トレーニング再開。

 ◆同11日 キャッチボール再開。