初戴冠に王手や。阪神が20日、オリックス戦(京セラドーム大阪)を競り勝ち、オープン戦の単独首位に浮上した。今日21日に同カードの最終戦を制すれば、金本阪神の“初優勝”が決まる。ここまで14試合でチーム本塁打は0本だが、金本知憲監督(47)は「逆にいいことかもよ!」と豪快に笑い飛ばした。1番高山から始まる連日の「夢オーダー」が機能し、適時打4本での快勝。ホンマに強い。勢いたっぷりに開幕へと突入しまっせ。

 ジャブ、ジャブ、またもやジャブを容赦なく連打してオリックスを圧倒した。金本阪神は負ける気がしない。底力を示したのは、同点に追いつかれた直後の3回だ。3番ヘイグの中前打で着火。ゴメスが右前に運んで1死一、三塁の好機を築くと、この日も6番に入った鳥谷がライナーで左前にはじき返す適時打を放った。さらに梅野の左前への打球で二塁からゴメスが激走。間一髪のタイミングだったが本塁を駆け抜けた。

 試合を振り出しに戻されても、すぐに突き放す。横綱相撲で寄り切り、引き分け2戦を挟んで4連勝。ついに12球団で単独首位に浮上した。それでも、金本監督は「どうでもいいよ。首位だったの? 知らんかった」と一笑に付す。今日21日に勝てばオープン戦を制する。過去3年は優勝チームがリーグ制覇しており、吉兆にはちゃっかりあやかる。「そうなんだ。それはいいことを聞いた」と声をはずませた。

 打線が充実し、切れ目がない。前日19日と同じく、1番高山、2番横田から流れていくラインアップで勝負し、この日は適時打が4本出た。きっちりと攻撃がつながっている証拠だ。しかも、ポイントゲッターに位置づけた鳥谷が6番で決勝打。オフにシェイプアップを命じた二塁走者ゴメスがスピードある走りを披露した。指揮官の思惑がズバズバと当たり、内容の濃い白星。3・25開幕をにらみ、この日の並びが理想のオーダーになる。不調の3番ヘイグの状態を見極めてからGOサインを出すが、豊富な駒をそろえ、力強く本番へと向かう。

 いまは負のデータすら、笑いのネタにする余裕がある。今季のオープン戦14試合でチーム本塁打なし。実に122イニングもアーチを架けていない。この点を指摘された指揮官は「いいねえ! 逆にいいことかもよ。たまりにたまった後は…」と不敵に笑う。一気にドバッと出してスッキリするのは開幕後でいい。阪神のオープン戦ノーアーチは65年以降、1度もない。まさに“歴史的”な快進撃で11年以来、5年ぶりのオープン戦優勝に王手だ。チーム打率2割7分9厘は12球団中2位。打線のつながりを重視する金本阪神は、勢いを止めずにシーズンへなだれ込む。【酒井俊作】

 ▼最近3年のオープン戦優勝チームは、いずれも公式戦でもリーグ優勝を果たしている。13年巨人(10勝4敗3分け、勝率7割1分4厘)がセ・リーグ制覇。ソフトバンクは14年(15勝2敗2分け、同8割8分2厘)、15年(11勝5敗1分け、同6割8分8厘)と2年連続日本一となっている。

 ▼阪神は今日21日オリックス戦○なら、オープン戦優勝が決まる。△でも、2位楽天が△または●でV。●なら他球団の結果と無関係に優勝は消滅。阪神がオープン戦で優勝すれば、11年(6勝2敗4分け、勝率7割5分)以来5年ぶり。