慶大に「新ヨシノブ2世」が現れた。柳町達(たつる)外野手(1年=慶応)が、6回に右越え2ランを放つなど5打数2安打3打点でデビュー戦を飾った。1年生の春季リーグ開幕戦本塁打は07年の早大・原寛信以来。OBの巨人高橋監督と同じ右投げ左打ちの外野手の活躍で、法大を11-1で破った。東大は左腕エース宮台康平投手(3年=湘南)が早大を8回まで2安打無失点に抑えたが、9回にサヨナラ打を浴びた。

 あこがれの大先輩を超える鮮烈デビューだった。7-0の6回2死一塁、柳町が7球目のスライダーを振り抜いた。右翼席に飛び込む2ランは、9年ぶりの新人開幕戦アーチ。1年春からレギュラーだった巨人高橋監督でも、初本塁打は2戦目だった。「甘い球が来たので思い切り振ったら、ホームランになっちゃいました。うれしかったです」と初々しい笑顔を見せた。

 抜てきに応えた。三塁手として入学したが、抜群のミート力を買われて3月中旬に外野へ転向。主将の重田清一外野手(4年=佐賀西)から開幕スタメンを奪った。2回の初打席で中前へ初安打を放つと、4回には強烈なゴロを二塁手がはじき(記録は二失)、初打点もマーク。50メートル6秒2の俊足と遠投120メートルの強肩の持ち主は「外野は中学の時にやったことがあるので大丈夫。初めての神宮は楽しかった」と胸を張った。

 プロ経験のある指導者も絶賛した。元近鉄の大久保秀昭監督(46)は「自分は1年の最初にホームランは打てなかった。すごいね」と話せば、江藤省三前監督(73)も「(昨年卒業した)谷田(成吾)よりセンスは上」と言った。柳町の目標は「背番号24をつけること」。タレントのローラ似と言われた経験のある甘いマスクの18歳が、スターへの階段を歩んでいく。【鹿野雄太】

 ◆柳町達(やなぎまち・たつる)1997年(平9)4月20日、茨城・稲敷市生まれ。小1から新利根エンゼルスで野球を始める。新利根中では取手シニアに所属。投手兼外野手で2年時に全国制覇。慶応高では1年春から三塁手でレギュラー。高校通算本塁打は「30本くらい」。甲子園出場はなし。右投げ左打ち。180センチ、75キロ。家族は両親と兄、妹。